家賃請求書の書き方が分からずお困りではありませんか?
正しい家賃請求書を作成することは、大家さんと入居者双方にとって円滑な賃貸経営を行う上で非常に重要です。
曖昧な請求書は思わぬトラブルに発展する可能性も。
この記事では、家賃請求書の必要性や法的根拠から、必須項目・任意項目、手書きとパソコン作成それぞれのメリット・デメリット、ExcelやWordを使ったテンプレートの活用方法、さらには発行頻度や交付方法、よくある疑問やトラブル事例まで、網羅的に解説します。
この記事を読むことで、法律に則った正確な家賃請求書の書き方をマスターし、未然にトラブルを防ぐことができます。
安心して賃貸経営を行うための知識を、ぜひここで身につけてください。
家賃請求書の必要性と法的根拠
家賃請求書は、大家さんと借主さんの間で家賃の支払いを明確化し、後々のトラブルを未然に防ぐために非常に重要な書類です。
単なる金額の提示だけでなく、賃貸経営における健全な関係性を維持するためにも、その役割は決して小さくありません。
法律との関連性についても理解することで、より安心して賃貸経営を行うことができます。
なぜ家賃請求書が必要なのか?
家賃請求書を作成・交付することで、大家さんと借主さんの間で、家賃の金額、支払期日、請求期間など、支払に関する重要な情報が明確になります。
これは、言った言わないといった水掛け論を防ぎ、双方にとって透明性の高い取引を実現する上で不可欠です。
また、家賃の支払いが滞った場合、督促状を作成する際の重要な証拠資料となります。
家賃請求書を発行していない場合、滞納の事実を証明することが難しく、法的措置を取る際にも不利になる可能性があります。
さらに、確定申告の際に必要経費として計上する際にも、家賃請求書は重要な証拠書類となります。
借主にとっても、家賃請求書は家賃支払いの記録として、確定申告の際に医療費控除の対象となる場合の証明資料として利用できます。
また、会社によっては家賃補助の申請に必要となるケースもあります。
家賃請求書に関する法律とトラブル防止
家賃請求書の発行は法律で義務付けられているわけではありません。
しかし、民法第601条には「賃貸人は、目的物を修繕し、その使用及び収益に必要な状態に維持する義務を負う」と規定されています。
この条文を拡大解釈し、家賃の請求についても、明確な形で行うことが大家さんの義務であると解釈する見解もあります。
家賃請求書を発行することで、この義務を果たしていることを明確に示すことができます。
また、賃貸借契約書には、家賃の金額、支払期日、支払方法などが記載されていますが、家賃請求書は、これらの情報を改めて確認し、借主への通知を行う役割を果たします。
特に、家賃の値上げや支払期日の変更など、契約内容に変更があった場合には、家賃請求書を通じて明確に伝えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
項目 | 内容 | 関連法令/判例 |
---|---|---|
家賃債務の履行 | 借主は、賃貸借契約に基づき、決められた期日に家賃を支払う義務があります。 | 民法第605条 |
家賃滞納への対応 | 大家さんは、家賃が滞納された場合、督促状を送付し、それでも支払われない場合は、賃貸借契約を解除することができます。 | 民法第612条 |
明瞭な請求の必要性 | 家賃請求は、金額、請求期間などを明確に示す必要があります。家賃請求書は、この明瞭性を確保するための有効な手段です。 | 判例多数(明確な請求に関する判例) |
上記のように、家賃請求書は法律で義務付けられていないものの、トラブル防止の観点から作成・交付することが強く推奨されます。
特に、家賃滞納や契約内容の変更など、トラブルが発生しやすい場面においては、家賃請求書が重要な役割を果たします。
作成・交付することで、大家さんと借主さんの双方にとって、より安全で安心な賃貸経営を実現することが可能となります。
家賃請求書の必須項目
家賃請求書には、法的にも有効性を担保し、後々のトラブルを避けるために、必ず記載すべき必須項目がいくつか存在します。
これらの項目が欠けていると、正式な請求書として認められない可能性があるだけでなく、家賃滞納などの問題発生時に不利になるケースもあります。
正確な情報を漏れなく記載することで、スムーズな賃貸経営を実現しましょう。
賃貸借契約に基づいた正確な情報
賃貸借契約書の内容と齟齬がないよう、正確な情報を記載することが重要です。
契約内容と異なる情報が記載されていると、トラブルの原因になりかねません。
契約書をよく確認しながら、以下の項目を丁寧に記入しましょう。
物件情報(住所、部屋番号など)
物件の所在地は、都道府県名、市区町村名、番地、建物名、部屋番号まで正確に記載します。
マンションやアパートの場合は、建物名と部屋番号を明確に区別して記載することが重要です。
番地や部屋番号の誤りは、入金ミスや未払いといったトラブルに繋がる可能性がありますので、特に注意が必要です。
貸主と借主の情報
貸主と借主の氏名または名称、住所、連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を明記します。
法人の場合は、正式名称と代表者名も併せて記載しましょう。
連絡先は、請求に関する問い合わせや確認事項が発生した場合に迅速に対応できるよう、必ず記載する必要があります。
家賃の金額と支払期日
家賃の金額は、賃貸借契約書に記載されている金額と一致している必要があります。
金額だけでなく、支払期日も明確に記載しましょう。
支払期日は、月末や月初など、契約内容に基づいて設定します。
また、支払期日が土日祝日の場合は、翌営業日など、具体的な取り決めを記載しておくことが望ましいです。
請求期間
どの期間の家賃を請求しているのかを明確にするために、請求期間を記載します。
「〇年〇月分」のように、年月を明記するのが一般的です。
請求期間を明確にすることで、借主がどの期間の家賃を支払っているのかを容易に理解でき、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。
項目 | 記載内容 | 注意点 |
---|---|---|
物件情報 | 都道府県名、市区町村名、番地、建物名、部屋番号 | マンション・アパートの場合は建物名と部屋番号を明確に区別する |
貸主情報 | 氏名または名称、住所、連絡先(電話番号、メールアドレスなど) 法人の場合は正式名称と代表者名も記載 | 問い合わせや確認事項に迅速に対応できるよう連絡先は必須 |
借主情報 | 氏名または名称、住所、連絡先(電話番号、メールアドレスなど) | 同上 |
家賃金額 | 賃貸借契約書に記載されている金額 | 金額の誤りはトラブルの元となるため、契約書と必ず一致させる |
支払期日 | 月末、月初など契約内容に基づいて設定 | 支払期日が土日祝日の場合は翌営業日など具体的な取り決めを記載 |
請求期間 | 〇年〇月分のように年月を明記 | 借主がどの期間の家賃を支払っているかを明確にする |
これらの必須項目を正確に記載することで、家賃の支払いがスムーズに行われ、貸主と借主の間の信頼関係を築くことができます。
また、万が一トラブルが発生した場合にも、これらの情報が重要な証拠となります。
家賃請求書は賃貸経営における重要な書類ですので、作成時には細心の注意を払いましょう。
家賃請求書の任意項目と記載例
家賃請求書には、法律で定められた必須項目以外にも、賃貸経営をスムーズに進めるために記載しておくと便利な任意項目があります。
これらを適切に記載することで、後々のトラブル防止につながります。
以下、代表的な任意項目と記載例、そしてそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
領収書の代わりになる印鑑欄
家賃の受領印をもらうための印鑑欄を設けることで、領収書を別途発行する手間を省けます。
特に、手渡しで家賃を徴収する場合に便利です。
印鑑欄には、「領収印」と記載し、日付欄も設けておきましょう。
振込手数料に関する取り決め
振込による支払いの場合、手数料の負担について明確に記載することで、後々のトラブルを回避できます。
「振込手数料は借主負担」のように明記しましょう。
手数料負担の割合によっては、金額も併せて記載しておくと親切です。
滞納時の延滞金に関する事項
滞納が発生した場合の延滞金に関する取り決めを記載することで、督促業務をスムーズに進めることができます。延滞金の利率や計算方法などを具体的に明記しましょう。
例えば、「延滞金:年利14.6%」のように記載します。
ただし、利率は法律で上限が定められているため、事前に確認が必要です。
また、延滞金が発生するまでの猶予期間を設けることも検討しましょう。
その他特記事項
共益費や駐車場料金など、家賃以外の費用の請求についても、家賃請求書に記載できます。内訳を明確にすることで、借主の理解と支払いを促進できます。
また、その他、契約内容に関する変更やお知らせなども、この欄に記載できます。
例えば、更新時期の案内や、建物の修繕工事のお知らせなどを記載することで、借主とのコミュニケーションを円滑にすることができます。
家賃請求書の記載例
以下の表は、家賃請求書の記載例です。必須項目と任意項目を組み合わせて作成しています。
具体的な内容は、賃貸借契約の内容に合わせて適宜変更してください。
項目 | 記載内容 |
---|---|
請求日 | 2024年5月1日 |
物件名 | 〇〇マンション 101号室 |
請求期間 | 2024年6月分 |
貸主 | 株式会社〇〇不動産 |
借主 | 山田 太郎 |
家賃 | 80,000円 |
共益費 | 5,000円 |
駐車場料金 | 10,000円 |
合計金額 | 95,000円 |
支払期日 | 2024年6月5日 |
支払方法 | 銀行振込(〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇) |
振込手数料 | 借主負担 |
滞納時の延滞金 | 年利14.6% |
領収印 | |
特記事項 | 2024年7月末に共用部分の清掃工事を行います。 |
上記はあくまで一例です。
賃貸借契約の内容や、個別の状況に合わせて適宜修正してください。
必要に応じて、専門家(弁護士や税理士など)に相談することも有効です。
手書きとパソコン作成、それぞれのメリット・デメリット
家賃請求書の作成は、手書きとパソコン作成のどちらの方法で行うか、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で選択することが重要です。
状況に応じて適切な方法を選ぶことで、効率化と正確性を両立できます。
手書き家賃請求書のメリット・デメリット
手書きで家賃請求書を作成するメリットは、特別なツールやスキルが不要で、すぐに作成できる手軽さにあります。
パソコンやプリンターがなくても、筆記用具と用紙さえあれば作成可能です。
また、手書きならではの温かみを感じさせる場合もあります。
一方で、デメリットとしては、記載ミスが発生しやすいこと、修正が面倒であること、時間がかかることなどが挙げられます。
また、字が汚いと読みにくく、誤解を招く可能性もあります。
大量の請求書を作成する場合には、非効率的です。
メリット | デメリット |
---|---|
手軽に作成できる | 記載ミスが発生しやすい |
特別なツールやスキルが不要 | 修正が面倒 |
温かみを感じさせる場合もある | 時間がかかる |
字が汚いと読みにくい | |
大量作成には非効率 |
パソコンで作成する家賃請求書のメリット・デメリット
パソコンで家賃請求書を作成するメリットは、効率性と正確性の高さです。
専用のソフトやテンプレートを使用することで、入力ミスを減らし、簡単に修正できます。
また、一度作成したデータを保存しておけば、次回から簡単に流用できます。
さらに、フォントやレイアウトを自由に設定できるため、見やすく、プロフェッショナルな印象を与える請求書を作成できます。
また、メールで送付することも可能です。
デメリットとしては、パソコンやプリンターが必要になること、専用のソフトやテンプレートによっては費用がかかる場合があること、操作に慣れるまで時間がかかる場合があることなどが挙げられます。
停電時など、パソコンが使えない状況では作成が難しくなる場合もあります。
メリット | デメリット |
---|---|
効率的かつ正確 | パソコンとプリンターが必要 |
修正が簡単 | ソフトやテンプレートに費用がかかる場合がある |
データの保存・流用が可能 | 操作に慣れるまで時間がかかる場合がある |
見やすくプロフェッショナルな印象 | パソコンが使えない状況では作成困難 |
メールで送付可能 |
おすすめの家賃請求書作成ツール
パソコンで家賃請求書を作成する場合、Microsoft ExcelやWord、Googleスプレッドシート、Googleドキュメントなど、様々なツールが利用できます。
これらのツールには、無料で利用できるテンプレートも多数公開されています。
また、請求書作成に特化したクラウドサービスも存在し、例えば「freee」や「マネーフォワード クラウド」などは、家賃管理機能も備えています。
これらのツールを活用することで、より効率的に家賃請求書を作成できます。
Microsoft Excel
Excelは、表計算ソフトとして広く普及しており、家賃請求書の作成にも適しています。
数式や関数を活用することで、自動計算機能などを組み込むことも可能です。
▶ Excel請求書ダウンロード
Microsoft Word
Wordは、文書作成ソフトとして一般的であり、フォーマットにこだわった家賃請求書を作成したい場合に適しています。
図形や画像の挿入も容易に行えます。
▶ Word請求書ダウンロード
Google スプレッドシート
Google スプレッドシートは、オンラインで利用できる表計算ソフトであり、複数人での共同編集が可能です。リアルタイムでデータ共有できるため、チームでの作業効率向上に繋がります。
▶ スプレッドシートダウンロード
Google ドキュメント
Google ドキュメントは、オンラインで利用できる文書作成ソフトであり、Wordと同様にフォーマットにこだわった家賃請求書の作成に適しています。
複数人での共同編集も可能です。
freee、マネーフォワード クラウド等のクラウド会計ソフト
これらのクラウド会計ソフトは、家賃管理機能を備えており、請求書作成だけでなく、入金管理や収支管理も一元的に行うことができます。
特に、複数物件を管理している大家さんにおすすめです。
これらのサービスは有料ですが、無料トライアル期間が設けられている場合もあります。
▶ 請求書テンプレートはスマホで無料から使えるアプリ|請求ピッパ
Excel、Wordでの家賃請求書テンプレート活用術
ExcelやWordで作成できる家賃請求書テンプレートは、大家さんの業務効率化に大きく貢献します。
無料で利用できるものから有料のものまで、様々なテンプレートが提供されています。
この章では、テンプレートの効果的な活用方法やカスタマイズのコツ、注意点などを詳しく解説します。
無料テンプレートの使い方と注意点
インターネット上には、無料でダウンロードできる家賃請求書テンプレートが豊富に公開されています。
これらのテンプレートは、一般的にExcelやWord形式で提供されており、すぐに利用できる手軽さが魅力です。
ただし、無料テンプレートを利用する際には、以下の点に注意が必要です。
- 著作権:利用規約をよく確認し、著作権に配慮しましょう。商用利用が禁止されている場合もあります。
- セキュリティ:信頼できるサイトからダウンロードしましょう。ウイルス感染や個人情報漏洩のリスクを避けるため、公式ウェブサイトや信頼できるテンプレートサイトを利用することをおすすめします。
- 機能性:必要な項目がすべて含まれているか、計算式が正しく設定されているかなどを確認しましょう。必要に応じてカスタマイズが必要な場合もあります。
無料テンプレートの活用方法としては、ダウンロードしたファイルをそのまま使用する方法と、自身のニーズに合わせてカスタマイズする方法があります。
例えば、以下の項目を修正することで、より使い勝手の良い家賃請求書を作成できます。
- 物件情報の追加:部屋番号、建物名、所在地など
- 項目の追加:水道料金、共益費、駐車場料金など
- デザインの変更:フォント、ロゴ、罫線など
テンプレートのカスタマイズ方法
ExcelやWordの機能を活用すれば、テンプレートを自由にカスタマイズできます。
例えば、数式を挿入して自動計算機能を追加したり、条件付き書式を設定して特定のセルを強調表示したりすることも可能です。
具体的なカスタマイズ方法を以下に示します。
Excelでのカスタマイズ
- セルの書式設定:フォント、文字サイズ、背景色、罫線などを変更できます。
- 数式の挿入:SUM関数やIF関数などを用いて、家賃や合計金額を自動計算できます。
- グラフの作成:家賃の推移などを視覚的に表示できます。
- マクロの利用:繰り返し行う作業を自動化できます。
Wordでのカスタマイズ
- スタイルの設定:見出し、段落、文字などに統一感のある書式を設定できます。
- 表の挿入:家賃の内訳などを分かりやすく表示できます。
- 画像の挿入:物件の写真やロゴなどを追加できます。
- 差し込み印刷:複数の借主への請求書を一括作成できます。
テンプレートを活用することで、家賃請求書の作成にかかる時間と手間を大幅に削減できます。
請求書作成業務の効率化を図り、スムーズな賃貸経営を実現するために、ぜひテンプレートを活用してみてください。
ATOKクラウド、Googleドキュメントなど、クラウドサービスを利用したテンプレート作成・管理もおすすめです。
これらのサービスを利用することで、複数のパソコンやデバイスからアクセスできるため、場所を選ばずに作業できます。
また、自動保存機能により、データの損失を防ぐこともできます。
さらに、共同編集機能を利用すれば、複数人で同時にテンプレートを編集することも可能です。
家賃請求書の発行頻度と交付方法
家賃請求書の発行頻度と交付方法は、賃貸借契約の内容や双方の合意によって決定されます。
スムーズな家賃回収と良好な関係維持のためにも、適切な方法を選択しましょう。
適切な発行頻度
家賃請求書の発行頻度は、一般的に以下のパターンが考えられます。
発行頻度 | メリット | デメリット | 向いているケース |
---|---|---|---|
毎月 | 家賃の支払いを毎月確認できるため、滞納の早期発見につながる。借主にとっても支払いの管理がしやすい。 | 発行の手間がかかる。郵送の場合は送料がかさむ。 | 一般的な賃貸借契約滞納リスクを軽減したい場合 |
隔月 | 毎月の発行に比べて手間が軽減される。郵送費用の削減になる。 | 滞納の発見が遅れる可能性がある。借主によっては支払いの管理が難しい場合もある。 | 長期契約の場合信頼関係が築けている場合 |
3ヶ月ごと | 発行の手間がさらに軽減される。郵送費用が抑えられる。 | 滞納の発見がさらに遅れる可能性がある。借主の支払管理が複雑になる場合もある。 | さらに長期の契約の場合法人契約など、信頼性の高い場合 |
法律で発行頻度が定められているわけではありませんが、賃貸借契約書に記載がない場合は、一般的に毎月の発行が妥当とされています。
また、契約期間中に発行頻度を変更する場合には、必ず借主との合意が必要です。
郵送、手渡し、メールなど交付方法の選択
家賃請求書の交付方法は、主に以下の3つの方法があります。
郵送
郵送は最も一般的な方法です。記録が残るため、トラブル発生時の証拠として有効です。
ただし、郵送費がかかること、相手に届くまでに時間がかかることがデメリットです。内容証明郵便を利用すれば、より確実な証拠となります。
手渡し
直接手渡す方法は、確実で迅速に相手に届けることができます。
ただし、手渡しの際に受領印をもらうなど、交付の証拠を残すことが重要です。また、お互いの都合を合わせる必要があるため、時間的な制約が生じる可能性があります。
メール
メールは、郵送費がかからず、迅速に相手に届けることができる便利な方法です。
PDFファイルで請求書を作成し、添付して送付するのが一般的です。
ただし、メールが届かない場合や、相手がメールを確認しない場合のリスクがあるため、受信確認機能を活用したり、電話で確認するなどの対策が必要です。
また、印刷して保管するよう借主に促すことも重要です.
その他、賃貸管理会社に委託している場合は、管理会社が家賃の請求と回収を行うため、大家さんが直接請求書を発行する必要はありません。
また、最近ではオンライン家賃収納システムを利用するケースも増えています。
これらのシステムを利用すれば、請求書発行の手間が省けるだけでなく、入金確認も自動化され、効率的な家賃管理が可能になります。
よくある家賃請求書の書き方の疑問とトラブル事例
家賃請求書の書き方について、よくある疑問やトラブル事例をまとめました。
これらの疑問やトラブルを事前に理解しておくことで、スムーズな家賃のやり取りを実現し、大家さんと借主双方にとってより良い賃貸経営に繋がります。
よくある質問FAQ
家賃請求書の書き方に関するよくある質問と回答をまとめました。
質問 | 回答 |
---|---|
家賃請求書は必ず発行しなければいけないのでしょうか? | 法律で義務付けられてはいませんが、トラブル防止のためにも発行することを強く推奨します。 |
家賃請求書を発行しないとどうなるのでしょうか? | 家賃の未払い時に、支払いを証明する証拠が不足し、トラブルに発展する可能性が高まります。また、確定申告時の経費計上にも影響が出る可能性があります。 |
手書きでも問題ないですか? | 手書きでも問題ありませんが、誤記や書き漏れを防ぐためにも、パソコンでの作成がおすすめです。ExcelやWordのテンプレートを活用すれば、簡単に作成できます。 |
家賃請求書の保管期間はどれくらいですか? | 確定申告の関係上、最低でも5年間は保管しておくことをおすすめします。 |
電子データでの発行・保存は可能ですか? | 可能です。PDFなどで保存し、メールで送付することもできます。ただし、電子データで発行する場合、借主の同意を得ることが重要です。 |
家賃の金額を間違えて記載してしまいました。どうすれば良いですか? | 訂正印を押して修正するか、新しい家賃請求書を発行しましょう。修正した場合は、修正した日付も併記しておくと良いでしょう。 |
領収書は発行する必要がありますか? | 家賃請求書に領収印を押印することで、領収書の代わりとなります。別途領収書を発行する必要はありません。 |
消費税はどのように記載すれば良いですか? | 家賃は非課税のため、消費税は記載する必要はありません。 |
借主が家賃請求書の受領を拒否した場合どうすれば良いですか? | 内容証明郵便で送付する、または第三者を介して交付するなどの方法を試み、それでも拒否される場合は、法的な手段を検討する必要があるかもしれません。記録を残しておくことが重要です。 |
賃貸借契約書と家賃請求書の内容が異なる場合はどちらが優先されますか? | 一般的には賃貸借契約書が優先されます。内容に相違がある場合は、借主と話し合って解決するようにしましょう。 |
トラブル事例と解決策
家賃請求書に関するトラブル事例と、その解決策を具体的に紹介します。
事例1:家賃の金額が間違っていた
家賃請求書の金額に誤りがあった場合、借主との間でトラブルになる可能性があります。
例えば、本来10万円の家賃を誤って8万円と記載してしまった場合、差額の2万円を請求する際に借主が支払いを拒否するかもしれません。
解決策:誤りに気づいたらすぐに借主に連絡し、訂正した家賃請求書を再発行しましょう。
また、口頭だけでなく、メールなど記録に残る形で連絡することも重要です。
事例2:家賃請求書が届かない
郵送で家賃請求書を送付している場合、紛失や遅延などのトラブルが発生する可能性があります。借主が家賃請求書を受け取っていない場合、家賃の支払いが遅れる可能性があります。
解決策:家賃請求書の送付方法を、郵送からメールや手渡しに変更することを検討しましょう。また、配達証明付き郵便を利用するのも有効な手段です。
状況に応じて、LINE公式アカウントなどのツールを活用し、請求書を送付する方法も検討できます。
事例3:借主が家賃請求書の保管を怠り、紛失した
借主が家賃請求書を紛失した場合、支払済みの証明ができなくなり、トラブルに発展する可能性があります。
特に、過去の支払履歴を確認する必要がある場合、問題となります。
解決策:借主に対して、家賃請求書は大切に保管するように注意喚起しましょう。また、大家側も控えを保管し、必要に応じて再発行できるようにしておきましょう。
電子データでの発行・保存も有効な手段です。
事例4:記載内容が曖昧で、後からトラブルになった
例えば、「共益費込み」と記載していたにも関わらず、具体的な内訳が記載されていなかった場合、後から借主から問い合わせを受けたり、トラブルに発展する可能性があります。
解決策:家賃請求書には、家賃、共益費、駐車場代など、各項目を明確に区分して記載しましょう。共益費の内訳についても、可能な限り具体的に記載することで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
また、賃貸借契約書の内容と一致しているかを確認することも重要です。
まとめ
この記事では、大家さん向けに家賃請求書の書き方について、法律に基づいた必須項目から任意項目、作成方法、交付方法まで詳しく解説しました。
家賃請求書は、単なる金額の提示だけでなく、賃貸借契約に基づいた重要な法的書類です。
正確な情報を記載することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
必須項目である物件情報、貸主・借主情報、家賃金額と支払期日、請求期間は必ず記載しましょう。
また、振込手数料や延滞金に関する取り決めなど、任意項目を記載することで、よりスムーズな家賃のやり取りが可能になります。
手書きとパソコン作成、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法で作成しましょう。
ExcelやWordの無料テンプレートを活用すれば、簡単に作成できます。
発行頻度や交付方法も、法律や契約内容に則り、適切な方法を選択することが重要です。
よくある疑問やトラブル事例も参考に、円滑な賃貸経営に役立ててください。
適切な家賃請求書の作成は、良好な大家・借主関係の構築に繋がります。