支払通知書に記載された源泉徴収額を正しく確認し、確定申告で還付を受ける手順をステップごとに分かりやすく解説します。
e-Taxや郵送での申告方法、必要書類の準備から還付申請のポイントまで網羅し、誤りを防いでスムーズに手続きを進めるコツが分かります。
支払通知書の基本知識や到着ケースを紹介するので、初心者も安心です。
トラブル回避に役立つノウハウが得られます。源泉徴収税額の算出根拠も解説します。
支払通知書とは?
支払通知書とは、報酬・料金・契約金などの支払内容を支払者が受給者に通知する文書です。
主に所得税の源泉徴収を適切に行うために発行され、確定申告や税務調査の際にも証拠書類として用いられます。
支払通知書の役割
支払通知書には以下の役割があります。
- 支払者が支払った金額と、徴収した源泉徴収税額を明示する
- 受給者が確定申告で所得金額や控除額を正確に申告できるようにする
- 税務署からの問い合わせや税務調査時の証拠書類となる
支払通知書が届くケース
代表的なケースとして以下のようなものがあります。
- フリーランスが企業から原稿料・デザイン料などを受け取ったとき
- 講演やセミナーで講師料を受け取ったとき
- 法人が利子・配当を支払ったとき(支払通知書兼法定調書)
- 弁護士や税理士など専門家に相談料や報酬を支払ったとき
支払通知書に記載されている情報
支払通知書には、以下の項目が一般的に記載されています。
項目 | 内容 |
---|---|
支払年月日 | 実際に報酬等を支払った日付 |
支払金額 | 源泉徴収前の合計金額 |
源泉徴収税額 | 支払金額に対して差し引かれた所得税額 |
支払者の名称・住所 | 支払元となる企業や個人事業主の情報 |
受給者の名称・住所 | 報酬等を受け取った個人または法人の情報 |
支払区分 | 報酬、料金、配当、利子などの区分 |
摘要 | 取引内容の詳細や契約番号など |
源泉徴収とは?

源泉徴収とは、所得を支払う際に支払者があらかじめ所得税や復興特別所得税を差し引いて納付し、受給者は差し引かれた税額を確定申告や年末調整で精算する仕組みです。
給与や報酬の支払いと同時に税金が徴収されるため、納税の手間が軽減されるメリットがあります。
源泉徴収の仕組み
源泉徴収は、以下の流れで行われます。
ステップ | 内容 |
---|---|
1. 支払者による徴収 | 給与や報酬を支払う事業者が、支払い時に所得税および復興特別所得税を差し引く |
2. 納付 | 差し引いた税額を翌月10日までに税務署へ法定納期限内に納付する |
3. 法定調書の提出 | 支払調書や給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出し、受給者にも交付する |
4. 精算(年末調整/確定申告) | 年末調整や確定申告で年間の税額を再計算し、過不足を還付または追加納付する |
源泉徴収される所得の種類
源泉徴収の対象となる主な所得は以下のとおりです。
所得税法や復興特別所得税の規定に従い、それぞれ異なる税率が適用されます。
所得の種類 | 主な内容 | 税率(復興特別所得税含む) |
---|---|---|
給与所得 | サラリーマンやパート・アルバイトの賃金 | 給与所得の源泉徴収税率表に基づく |
報酬・料金 | 士業(弁護士、税理士など)の報酬、講演料 | 10.21% |
利子所得 | 預貯金の利子、債券の利子 | 15.315% |
配当所得 | 株式の配当、投資信託の分配金 | 15.315% |
退職所得 | 退職金 | 退職所得の源泉徴収税額表に基づく |
源泉徴収税額の計算方法
源泉徴収税額は、支払金額に対して適用される税率を乗じて算出します。
ただし、給与所得や退職所得は所定の税額表により計算し、社会保険料控除後の金額を基にします。
計算手順の例:
- 支払金額-社会保険料等=課税対象額
- 課税対象額×該当する源泉徴収税率=源泉徴収税額
- 復興特別所得税(所得税額の2.1%相当)を加算
たとえば、報酬10万円の場合は 100,000円×10%+復興特別所得税(21円)=10,021円 が源泉徴収税額となります。
支払通知書から源泉徴収額を確認する方法

支払通知書のどこに源泉徴収額が記載されているか
支払通知書には通常、〈支払金額〉とともに〈源泉徴収税額〉が明示されています。
書面の上部または明細部分に「源泉徴収額」として記載されるため、まずは表題や明細欄の見出しを探しましょう。
項目 | 表示例 |
---|---|
支払者名 | ○○株式会社 |
支払金額(税込) | ¥100,000 |
源泉徴収税額 | ¥10,210 |
上記のように、〈源泉徴収税額〉欄があるかどうかをまず確認し、その金額が「差し引かれた税額」です。
源泉徴収税額の計算根拠
源泉徴収額は支払金額に対して一定の税率を乗じて算出します。
以下の計算式を参考にしてください。
◆ 源泉徴収税額 = 支払金額 × 税率
計算に用いる主な税率は次のとおりです(所得税・復興特別所得税を含む)。
所得の種類 | 税率 |
---|---|
報酬・料金 | 10.21% |
講演料・原稿料 | 10.21% |
利子所得 | 15.315% |
たとえば支払金額100,000円の報酬であれば、100,000円×10.21%=10,210円が源泉徴収額となります。
よくある源泉徴収に関する疑問
Q: 支払通知書に源泉徴収税額の記載がない場合は?
その際は支払者に確認し、非課税扱いである旨を文書で残しておくと安心です。
Q: 税率が想定と違うように見える場合は?
必ず表示されている金額区分を確認し、消費税部分を除いた正しい支払金額で再計算してください。
Q: 支払調書と支払通知書の違いは?
支払通知書に記載の源泉徴収額をもとに、年度末に支払調書を受け取り、確定申告時に合算して申告します。
確定申告で源泉徴収額を還付してもらうには?

確定申告が必要なケース
源泉徴収された税金が払い過ぎになっている場合には、確定申告を行うことで還付を受けられます。
以下のようなケースに該当する場合は、確定申告が必要です。
- 副業やフリーランス収入があり、年間の給与所得以外の所得がある場合
- 医療費控除や寄附金控除などの各種控除を申請したい場合
- 年末調整を受けておらず、源泉徴収が全額差し引かれている場合
- 住宅ローン控除の初年度で、年末調整では対応できない場合
還付申告の手順
還付申告は通常の確定申告と同じ手続きですが、申告期間を過ぎても申告可能です。
以下の手順で進めましょう。
- 必要書類を準備する(源泉徴収票、控除証明書など)
- 確定申告書B(第一表・第二表)を作成する
- 各種控除欄に金額を記入し、還付金額を確認する
- 税務署へ提出する(e-Taxまたは郵送)
- 申告後、指定口座に還付金が振り込まれるのを待つ
申告期間は通常2月16日から3月15日ですが、還付申告は翌年1月1日から5年以内であればいつでも申告できます。
必要な書類と提出方法
還付申告で必要となる主な書類と、その提出方法を以下の表にまとめました。
書類名 | 説明 | 提出方法 |
---|---|---|
源泉徴収票 | 給与や報酬から差し引かれた税額の証明 | 原本 |
確定申告書B | 所得金額や控除額を記入する申告書 | e-Taxまたは印刷して同封 |
医療費の領収書 | 医療費控除を申請する場合に添付 | 写しでも可(e-Taxは電子データ) |
各種控除証明書 | 生命保険料控除、寄附金控除などの証明書 | 原本または写し |
還付先口座情報 | 還付金振込口座の通帳コピーまたはカード | 写し |
e-Taxを利用する場合
国税庁のe-Taxを利用すると、自宅から24時間いつでも申告できます。
準備するものは以下の通りです。
- マイナンバーカードまたは電子証明書付き住民基本台帳カード
- ICカードリーダライタ(マイナンバーカード利用時)
- 源泉徴収票や控除証明書のスキャンデータ
- 還付先口座情報
手順:
- e-TaxソフトまたはWeb版にアクセスし、利用者識別番号を取得
- 申告書類を画面の指示通りに入力
- 必要書類を添付して送信
- 送信後、受信通知をダウンロードして保管
郵送で提出する場合
郵送で申告する場合は、以下の手順で書類を送付します。
- 確定申告書Bと必要書類をそろえる
- 封筒に「確定申告書在中」と朱書きし、切手を貼る
- 所轄の税務署宛てに簡易書留や特定記録郵便で送付
- 控え用の返送用封筒と切手を同封し、控えを受け取る
提出後、税務署から通知が届くまで数週間かかる場合がありますので、余裕をもって手続きをしましょう。
よくある質問

支払通知書が届かない場合はどうすればいいですか?
期限を過ぎても届かない場合は、まず支払元に直接連絡し、発送状況を確認してください。
場合によっては住所変更や郵送トラブルで未着になることがあります。
再送が難しい場合は、支払元から内容を証明する書類(支払調書など)を発行してもらい、確定申告時に添付しましょう。
源泉徴収税額に誤りがあった場合はどうすればいいですか?
支払通知書に記載された源泉徴収税額が合っていないと感じたら、以下の手順で対応してください。
- 支払通知書の金額や計算式をもう一度確認し、間違いを特定する。
- 支払元に訂正依頼を行い、正しい源泉徴収額の通知書(訂正支払通知書)を発行してもらう。
- 訂正通知書を受け取ったら、確定申告書の該当欄に正しい金額を記入し、訂正前後の通知書を添付する。
もし支払元が訂正に応じない場合は、最寄りの税務署に相談し、指示に従って申告書を作成してください。
確定申告の期限はいつですか?
原則として、個人の所得税確定申告書の提出期限は毎年3月15日までです。
ただし、申告方法や申告期間によって受付締切が異なります。
提出方法 | 受付期限 |
---|---|
e-Tax(電子申告) | 3月15日(23:59まで) |
郵送 | 3月15日(当日消印有効) |
期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が課される場合がありますので、早めの準備をおすすめします。
まとめ
支払通知書で源泉徴収額を確認し、計算方法や記載箇所を正確に把握しましょう。
支払通知書は報酬や配当など支払元が源泉徴収をした際に発行されます。
源泉徴収額の計算根拠を理解し、記載ミスがあれば発行者へ確認しましょう。
確定申告で還付を受けるには、e-Taxまたは郵送で必要書類を期限内に提出することが重要です。
書類不備や期限超過を避け、適切に手続きすることで還付をスムーズに受けられます。