インボイス制度や電子帳簿保存法への対応で、支払通知書ソフトの選定にお悩みではありませんか。
本記事では中小企業向けにおすすめのソフト7選を価格・機能・使いやすさから徹底比較し、貴社に最適な製品の選び方を解説します。
結論、会計ソフトとの連携や取引先の状況など、自社の優先順位を明確にすることが業務効率化を成功させる鍵です。
この記事を読めば、自社の課題を解決する最適なソフトが必ず見つかります。
まずはここから 支払通知書と関連制度の要点整理
支払通知書ソフトの導入を検討する前に、まずは基本となる「支払通知書」そのものと、業務に深く関わる「インボイス制度」「電子帳簿保存法」について正しく理解することが不可欠です。
これらの知識は、自社に最適なソフトを選ぶための重要な判断基準となります。
ここでは、混同しがちな書類との違いや、法改正への具体的な対応策を分かりやすく整理します。
支払通知書 支払明細 支払調書の違い
経理業務では「支払」に関連する多くの書類が扱われますが、特に「支払通知書」「支払明細書」「支払調書」は名称が似ているため混同されがちです。
それぞれの役割と法的義務は全く異なります。
これらの書類の違いを正確に把握することが、業務の混乱を防ぎ、適切なソフト選定を行う第一歩となります。
以下の表で、それぞれの書類の目的や発行義務の違いを確認しましょう。
書類名 | 目的・役割 | 発行者 | 受領者 | 発行義務 | インボイス制度との関連 |
---|---|---|---|---|---|
支払通知書 | 買手が売手に対し、支払予定日や支払金額、その内訳(商品代金、源泉徴収税額、振込手数料など)を事前に通知する。 | 買手(支払側) | 売手(受取側) | 法的義務なし(商慣習) | 要件を満たせば「仕入明細書」としてインボイスの代わりになる。 |
支払明細書 | 支払った金額の内訳を証明・通知する。給与明細や、クレジットカードの利用明細などが代表例。 | 支払者 | 受領者 | 内容による(所得税法で給与支払明細書は義務) | 支払通知書と同様に、要件を満たせば「仕入明細書」として利用可能。 |
支払調書 | 特定の報酬・料金等を支払った者が、その内容を税務署に報告するための法定調書。「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」が代表的。 | 支払者 | 税務署 (取引先への交付は義務ではない) | 法的義務あり(所得税法) | 直接的な関連はないが、記載される取引はインボイス制度の対象となる。 |
このように、支払通知書はあくまで商慣習上の書類ですが、取引の透明性を高め、双方の経理処理をスムーズにする重要な役割を担っています。
特にインボイス制度開始後は、支払通知書を「仕入明細書」として活用することで、買手側で仕入税額控除の要件を満たす運用が可能となり、その重要性はさらに増しています。
インボイス制度と電子帳簿保存法の実務対応
支払通知書業務のデジタル化を考える上で、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応は避けて通れません。
この2つの法改正は、経理業務の根幹を揺るがす大きな変更であり、ソフト選びの前提条件となります。
インボイス制度と支払通知書(仕入明細書)
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税の仕入税額控除を受けるために、原則として取引相手(売手)から交付された「適格請求書(インボイス)」の保存が必要になる制度です。
しかし、一定の要件を満たした「仕入明細書」を自社で作成し、相手方の確認を受ければ、インボイスの代わりとして仕入税額控除が認められます。
支払通知書は、この仕入明細書として活用できるのです。
仕入明細書として認められるためには、通常のインボイスの記載事項に加え、「相手方の確認を受けた旨」を記録する必要があります。
支払通知書ソフトには、これらの記載要件をテンプレートで満たし、取引先がWeb上で内容を確認・承認できる機能を持つものがあり、制度対応を効率化します。
電子帳簿保存法と電子データの保存義務
電子帳簿保存法、特に「電子取引」に関する要件は、すべての事業者に関わる重要なルールです。
これは、メールやクラウドサービスを通じて送受信した請求書や支払通知書などの電子データは、紙に出力して保存するのではなく、電子データのまま所定の要件を満たして保存しなければならないというものです。
求められる主な保存要件は以下の通りです。
- 真実性の確保:タイムスタンプの付与や、訂正・削除の履歴が残るシステムを利用するなどの措置。
- 可視性の確保:「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる機能を確保すること。
支払通知書ソフトの多くは、電子帳簿保存法の要件に対応した形でデータを保存・管理する機能を備えています。
ソフトを導入することで、法改正への対応とペーパーレス化を同時に実現できるのです。
電子配信にするメリットとガバナンス強化
従来、紙で発行・郵送していた支払通知書をソフトで電子化・Web配信することには、単なるコスト削減や効率化以上のメリットがあります。
それは、企業の内部統制、すなわちガバナンスの強化です。
- コスト削減と業務効率化
印刷代、紙代、封筒代、郵送費といった直接的なコストがゼロになります。さらに、印刷・三つ折り・封入・発送という一連の手作業がなくなり、担当者の業務負担を大幅に軽減。捻出された時間をより付加価値の高い業務に充てられます。 - 迅速な情報伝達と可視化
郵送のように数日かかることなく、作成後すぐに取引先へ通知を届けられます。また、システム上で「いつ」「誰に」送信したか、さらには相手が開封したかどうか(既読管理)まで追跡できるため、支払に関する問い合わせを減らし、スムーズなコミュニケーションを実現します。 - ガバナンス強化と内部統制
紙の運用では、誰が作成し、誰が承認したのかというプロセスが曖昧になりがちです。支払通知書ソフトを導入し、作成者、承認者、送信者といった権限を明確に分け、承認フローをシステム化することで、不正やミスの発生を抑制できます。すべての操作ログが記録されるため、監査対応の際にも客観的な証跡として利用でき、企業の信頼性向上に繋がります。
支払通知書ソフトの導入は、経理部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、変化に強い経営基盤を構築するための重要な一手と言えるでしょう。
支払通知書 ソフトの比較観点と失敗しない選び方

支払通知書ソフトの導入は、単に紙の通知書を電子化するだけが目的ではありません。
支払業務全体のプロセスを見直し、経理部門の生産性を飛躍的に向上させるための重要なIT投資です。
しかし、市場には多種多様なソフトが存在し、「どれを選べば良いかわからない」という声も少なくありません。
ここで選択を誤ると、現場に定着せず費用対効果を得られないばかりか、かえって業務が煩雑になる可能性もあります。
そこで本章では、数多くのソフトの中から自社の規模や業務フローに最適な一社を見つけ出すための5つの比較観点を、具体的なチェックポイントとともに詳しく解説します。
これらの観点を押さえることで、導入後の「こんなはずではなかった」という失敗を未然に防ぐことができるでしょう。
機能面の必須要件 支払予定 承認 振込データ
支払通知書ソフトを評価する際、まず確認すべきは支払業務全体をカバーできる機能が網羅されているかです。
単に通知書を作成・配信する機能だけでは、業務効率化の効果は限定的です。
請求書の受領から支払完了までの一連のプロセスをデジタル上で完結できるか、という視点で機能要件を整理しましょう。
特に中小企業において、以下の3つの機能は業務の中核を担うため、必須要件としてチェックすることをおすすめします。
- 支払予定管理機能:受領した請求書に基づき、支払先、支払金額、支払期日を一覧で管理できる機能です。支払漏れや二重払いを防ぎ、資金繰りの見通しを立てやすくします。
- 承認ワークフロー機能:申請者から上長、経理担当者、最終承認者といった社内の承認プロセスを電子化する機能です。金額に応じて承認ルートを自動で分岐させるなど、柔軟な設定ができると内部統制の強化に繋がります。
- 振込データ作成機能:承認された支払情報を元に、金融機関のインターネットバンキングで利用可能な全銀フォーマットの振込データ(FBデータ)を自動で作成する機能です。手入力による振込金額や口座情報の入力ミスを根本からなくし、経理担当者の負担を大幅に軽減します。
これらの基本機能に加え、自社の業務に合わせて以下の機能も確認すると、より効果的な選定が可能です。
機能カテゴリ | 主な機能 | チェックポイント |
---|---|---|
基本機能 | 支払通知書作成・配信 | テンプレートのカスタマイズは可能か。メール配信、Web発行など複数の配信方法に対応しているか。 |
支払管理機能 | 支払予定管理(買掛金管理) | 請求書データ取込(OCR、CSV)に対応しているか。支払期日のアラート機能はあるか。 |
承認ワークフロー | 複数段階の承認ルートを設定できるか。代理承認や差戻し機能はあるか。 | |
振込データ(FBデータ)作成 | 全銀フォーマットに対応しているか。複数の支払をまとめた総合振込データを作成できるか。 | |
付加機能 | 源泉徴収・手数料計算 | 源泉徴収税額や振込手数料(自行/他行、金額別)を自動計算し、支払金額に反映できるか。 |
使いやすさ UI 権限 テンプレート編集
高機能なソフトであっても、操作が複雑で分かりにくければ、経理担当者に定着せず宝の持ち腐れになってしまいます。
毎日利用するツールだからこそ、マニュアルを熟読しなくても直感的に操作できる「使いやすさ」は、機能面と同等に重要な選定基準です。
特に以下の3つの観点から、デモ画面を操作したり、無料トライアルを活用したりして、実際の使用感を確かめることが不可欠です。
- UI(ユーザーインターフェース)の分かりやすさ:メニューの構成やボタンの配置が論理的で、次に何をすべきかが一目でわかるデザインになっているかを確認します。専門用語が少なく、誰にでも理解できる言葉で表現されているかも重要です。
- 権限設定の柔軟性:企業の内部統制上、担当者ごとに操作できる範囲を制限する機能は必須です。「Aさんは請求書登録のみ」「Bさんは承認のみ」「Cさんは全機能を利用可能」といったように、役職や役割に応じて細かく権限を付与できるかを確認しましょう。
- テンプレート編集の自由度:支払通知書のフォーマットは企業によって様々です。自社のロゴを配置したり、独自の項目を追加・削除したりと、既存のフォーマットに合わせて柔軟にレイアウトを編集できる機能があるかを確認します。
操作性は個人の感覚にも左右されるため、導入を検討する際は、実際にソフトを利用する経理担当者複数名で評価することをおすすめします。
連携面 会計ソフト 銀行 API CSV EDI
支払通知書ソフトを単体で利用するのではなく、既存の会計ソフトや銀行システムと連携させることで、データ入力の二度手間をなくし、業務プロセス全体の自動化を実現できます。
システム間の「連携力」は、導入効果を最大化するための鍵となります。
連携方法には主にAPI連携とCSV連携の2種類があります。
- API連携:システム同士が直接データをやり取りする方法です。ボタン一つで仕訳データや入出金明細を自動で取り込めるため、最も効率的です。
- CSV連携:一方のシステムからCSV形式でデータを出力し、もう一方のシステムに手動で取り込む方法です。API連携に対応していないソフト間でも連携が可能ですが、手作業が発生します。
自社で利用しているシステムと連携可能か、事前に必ず確認しましょう。
連携対象 | 主な連携内容 | 確認事項 |
---|---|---|
会計ソフト | 支払情報に基づく買掛金や未払金の仕訳データを自動で作成・連携する。 | 弥生会計、勘定奉行、freee会計、マネーフォワード クラウド会計など、自社で利用中のソフトに対応しているか。API連携かCSV連携か。 |
銀行(インターネットバンキング) | 作成した振込データ(FBデータ)をアップロードする。API連携で振込実行や入出金明細の自動取得も可能。 | 自社で利用中の金融機関に対応しているか。API連携の対応範囲はどこまでか。 |
その他システム | 販売管理システムや基幹システム(ERP)から支払データをインポートする。 | 標準でAPIが公開されているか。CSVのフォーマットを柔軟に設定できるか。EDI(電子データ交換)に対応しているか。 |
セキュリティと監査 電子取引の保存要件
支払通知書は、取引金額や口座情報といった企業の機密情報を含みます。
そのため、ソフト選定においては、堅牢なセキュリティ体制が確保されていることが絶対条件です。
また、電子帳簿保存法の改正により、電子的に授受した支払通知書は電子データのまま保存することが義務付けられました。法要件への対応も必須のチェック項目です。
具体的には、以下の点を確認し、安心してデータを預けられるサービスを選びましょう。
- 電子帳簿保存法への対応:授受した電子取引データ(支払通知書PDFなど)について、「真実性の確保(タイムスタンプ付与や訂正削除履歴の保存)」と「可視性の確保(検索機能など)」の要件を満たしているか。
- 不正アクセス対策:通信の暗号化(SSL/TLS)、IPアドレスによるアクセス制限、二要素認証など、第三者による不正アクセスを防止する機能が備わっているか。
- データの保全:データセンターの堅牢性や、データのバックアップ体制はどのようになっているか。災害時などの事業継続計画(BCP)も確認できるとより安心です。
- 監査対応機能:「いつ、誰が、どのデータを、どのように操作したか」というアクセスログ(監査証跡)が記録され、いつでも追跡できるか。内部統制や税務調査の際に重要な機能となります。
- 第三者認証の取得:情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC 27001(ISMS認証)」や、クラウドサービスのセキュリティ認証である「ISMAP」などを取得しているかは、客観的な信頼性の指標となります。
価格 初期費用 月額費用 運用コスト
ソフト導入の最終的な意思決定において、価格は重要な要素です。
しかし、単純に月額料金の安さだけで比較するのではなく、自社の利用規模や将来的な拡張性も考慮した上で、トータルコストを算出することが失敗しないためのポイントです。
料金体系は主に「初期費用」「月額費用」「従量課金」の3つで構成されています。
費用項目 | 内容 | チェックポイント |
---|---|---|
初期費用 | アカウント開設や導入時の設定サポートにかかる費用。 | キャンペーンなどで無料になる場合もあるか。サポートの範囲はどこまでか。 |
月額費用(基本料金) | システムの利用料。多くはユーザー数や機能制限に応じたプラン制。 | 自社に必要な機能はどのプランに含まれているか。最低利用ユーザー数や契約期間の縛りはあるか。 |
従量課金(追加費用) | 支払通知書の発行通数やデータ保存容量など、利用量に応じて発生する費用。 | 月々の発行通数はどれくらいか。郵送代行を依頼する場合の1通あたりの単価はいくらか。 |
例えば、取引先が多く毎月の発行通数が多い企業の場合、月額基本料が安くても従量課金の単価が高いと、結果的にトータルコストは割高になる可能性があります。
逆に、利用ユーザーが少ない場合は、ユーザー数に応じたシンプルな料金プランが適しているでしょう。
自社の利用状況を正確に把握し、複数の料金プランをシミュレーションして比較検討することが重要です。
また、導入後のサポート体制が基本料金に含まれているのか、別途オプション料金が必要なのかも確認しておきましょう。
支払通知書 ソフト おすすめ厳選比較

ここからは、支払通知書の発行や関連業務の効率化に貢献する、おすすめのソフトウェアを7つ厳選してご紹介します。
それぞれのソフトが持つ特徴、価格、機能、そしてどのような企業に適しているかを、具体的な運用例を交えながら徹底的に比較・解説します。
自社の課題や規模に最適なツールを見つけるための参考にしてください。
マネーフォワード クラウド債務支払
「マネーフォワード クラウド債務支払」は、請求書の受取から支払依頼、承認、そして支払通知書の発行と振込データ作成まで、債務管理に関する一連のプロセスをクラウド上で完結できるサービスです。
特に同社の「マネーフォワード クラウド会計」との連携が強力で、バックオフィス業務全体の効率化を目指す企業に最適です。
適する企業規模と業務範囲
従業員数10名から数百名規模の中小企業、特に急成長中のスタートアップやIT企業に向いています。
請求書の処理枚数が多くなり、アナログな承認フローや手作業での振込データ作成に限界を感じている企業に最適です。
経理担当者だけでなく、申請者や承認者も直感的に使えるUIで、全社的な導入もスムーズに進められます。
価格プランとコスト最適化のポイント
料金は「マネーフォワード クラウド」のビジネスプラン以上に含まれる機能として提供されることが多く、利用する従業員数や必要な機能に応じてプランが変動します。
単体での契約ではなく、会計や経費精算などとセットで導入することで、コストパフォーマンスが最大化します。
請求書のAI-OCR読み取りや仕訳の自動作成機能も含まれており、支払業務だけでなく経理業務全体の工数を削減できる点が、実質的なコストメリットにつながります。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | ビジネスプラン、エンタープライズプラン(クラウド会計・経費などとセット) |
課金体系 | 月額または年額固定(利用ID数や機能により変動) |
コスト最適化 | 会計・経費精算・勤怠管理など、利用するサービスを増やすほど割安になる傾向 |
会計 口座連携と運用例
最大の強みは、会計ソフトとのシームレスな連携です。支払依頼が承認されると、支払通知書が取引先に自動でメール送信され、同時に振込用のFB(ファームバンキング)データが生成されます。
さらに、支払が完了すると、連携した銀行口座の入出金明細から自動で消込仕訳が作成されるため、買掛金の管理が劇的に楽になります。
この一気通貫の自動化により、手入力によるミスや二重払いを防ぎ、内部統制の強化にも貢献します。
支払奉行クラウド
「支払奉行クラウド」は、会計ソフトの老舗であるOBC(オービックビジネスコンサルタント)が提供する、支払管理に特化したクラウドサービスです。
長年の実績に裏打ちされた信頼性と、日本の商習慣に合わせたきめ細やかな機能が特徴で、特に「勘定奉行クラウド」のユーザー企業にとっては第一の選択肢となるでしょう。
適する企業規模と業務範囲
中堅・中小企業、特に奉行シリーズを既に導入している企業に最適です。紙の請求書や支払依頼書が多く、複雑な承認ルートや源泉徴収、手数料の按分といった個別要件に対応する必要がある企業のニーズに応えます。
支払予定表の管理から、手形・ファクタリングといった多様な支払方法に対応できる点も強みです。
価格プランとコスト最適化のポイント
価格はライセンス体系となっており、利用するユーザー数や機能に応じてプランが設定されています。
初期費用と月額利用料が必要です。
コストを最適化するには、自社の支払業務に必要な機能を洗い出し、過不足のないライセンスを選択することが重要です。
奉行シリーズで揃えることで、データ連携がスムーズになり、運用保守のコストを抑えることができます。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | iAシステム、iBシステム、iSシステムなど機能別のライセンス |
課金体系 | 初期費用+月額ライセンス費用 |
コスト最適化 | 勘定奉行など既存の奉行シリーズと連携させることで、導入・運用コストを抑制 |
奉行シリーズとの統合と拡張例
「勘定奉行クラウド」とAPIで自動連携し、支払処理が完了すると仕訳データがリアルタイムで会計システムに反映されます。
これにより、経理担当者の手作業による転記が不要になります。
また、「商蔵奉行クラウド」と連携すれば、仕入計上と同時に支払予定データが作成されるなど、販売・仕入から会計まで、企業全体の業務プロセスをシームレスに繋げ、生産性を向上させることが可能です。
楽楽明細
「楽楽明細」は、請求書や支払通知書、納品書、領収書といった、あらゆる帳票を電子化して発行することに特化したクラウドサービスです。
支払業務全体を管理するのではなく、「発行」プロセスにフォーカスしているのが特徴で、既存の会計システムや販売管理システムと連携して利用します。
適する企業規模と業務範囲
毎月大量の支払通知書や請求書を発行している、従業員数50名以上の中堅・中小企業に特に適しています。
印刷、封入、発送といった手作業にかかるコストと時間を抜本的に削減したい企業に最適です。
取引先のITリテラシーに合わせて、メール配信、Web発行、郵送代行を柔軟に使い分けられる点が大きなメリットです。
価格プランと通数課金の考え方
料金体系は、初期費用と月額基本料金に加え、発行する帳票の通数に応じた従量課金が基本となります。
電子発行の単価は安く、郵送代行は少し高めに設定されています。
電子化率を高めるほど、トータルの発行コストを大幅に削減できる仕組みです。
そのため、導入時には取引先に電子化への協力を依頼するアナウンスが重要になります。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | 発行通数に応じた複数のプラン |
課金体系 | 初期費用+月額基本料金+発行通数に応じた従量課金 |
コスト最適化 | 電子発行の割合を増やすことで、郵送費・人件費を大幅に削減可能 |
メール配信 郵送代行 既読管理
CSVやPDFデータを取り込むだけで、支払通知書などの帳票を自動で割り振り、発行できます。
取引先は専用のWebサイトから過去の帳票をいつでもダウンロード可能です。
発行側は、取引先がいつ帳票を閲覧したか(既読管理)を確認できるため、支払遅延の防止や問い合わせ対応の効率化にも繋がります。
紙での受け取りを希望する取引先には、オプションで郵送代行を依頼できるため、段階的なペーパーレス化を実現できます。
BtoBプラットフォーム 請求書
株式会社インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」は、電子請求書の発行・受取の両方に対応した国内最大級のプラットフォームです。
多くの企業が導入しているため、自社の取引先が既に利用している可能性も高く、スムーズに電子取引を開始できるのが大きな強みです。
適する企業規模と業務範囲
大企業から中小企業まで、幅広い規模の企業で利用されています。
特に、多数の取引先と請求書や支払通知書のやり取りがあり、業界全体でDXを推進したいと考えている企業に適しています。
支払通知書の発行だけでなく、請求書の受け取りや支払業務も同一プラットフォーム上で管理できるため、経理部門の業務全体を効率化できます。
価格プランとスケールメリット
料金は、発行側(請求する側)と受取側(支払う側)で異なります。
支払通知書を発行する場合は、発行側として月額基本料金とID数に応じた費用がかかります。
取引先が増え、プラットフォーム上での電子取引が増えるほど、郵送費や管理コストが削減され、スケールメリットを享受できる料金体系になっています。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | 発行・受取それぞれの機能と利用量に応じたプラン |
課金体系 | 月額基本料金+ID料金(または通数課金) |
コスト最適化 | 取引先のプラットフォーム利用率を高めることで、全体のコスト効率が向上 |
取引先接続と運用のポイント
導入成功の鍵は、いかに多くの取引先にプラットフォームへ参加してもらうかという点にあります。
インフォマートによる導入支援や、取引先への説明会サポートなどを活用することが重要です。
一度プラットフォーム上で繋がれば、請求データや支払通知データがそのまま会計システムに連携でき、入力作業が不要になります。
電子帳簿保存法やインボイス制度にも標準で対応しているため、法改正への対応も安心です。
バクラク請求書
株式会社LayerXが提供する「バクラク請求書」は、AI-OCRの精度の高さと、請求書の受取から支払通知、仕訳、振込までをシームレスに繋ぐ操作性が魅力のサービスです。
特に支払処理の自動化とガバナンス強化を両立させたい企業から高い評価を得ています。
適する企業規模と業務範囲
従業員数50名から1,000名程度の中小・中堅企業がメインターゲットです。
紙やPDFなど、様々な形式で届く請求書の処理に追われ、承認フローの形骸化や支払ミスに課題を抱える企業に最適です。
経理部門だけでなく、事業部門の申請者や承認者にとっても使いやすい設計で、全社的な業務改革を後押しします。
価格プランと費用対効果
料金は、請求書の処理枚数や利用機能に応じた月額制です。初期費用もかかります。
一見すると高価に感じるかもしれませんが、高精度なAI-OCRによる入力工数の削減、柔軟なワークフローによる統制強化、仕訳やFBデータの自動生成による経理業務の効率化といった効果を考慮すると、費用対効果は非常に高いと言えます。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | 利用機能や請求書処理枚数に応じたプラン |
課金体系 | 初期費用+月額利用料 |
費用対効果 | 入力・確認・振込作業の大幅な工数削減により、人件費換算での投資対効果が高い |
AI OCR 承認 振込の一気通貫
「バクラク請求書」の最大の特徴は、この一気通貫の体験です。
請求書をアップロードすると、AI-OCRがインボイス制度の要件を含め、支払先、金額、支払期日などを高い精度で自動データ化。そのデータをもとに支払依頼が作成され、事前に設定した承認ルートを回ります。
最終承認が下りると、支払通知書の発行、会計ソフト用の仕訳データ、銀行振込用のFBデータがワンクリックで生成されます。
このスムーズな連携が、経理担当者の負担を劇的に軽減します。
freee会計の支払管理
「freee会計」は、会計ソフトとして広く知られていますが、その機能の一部として支払管理機能も備わっています。
特に小規模事業者や個人事業主、スタートアップにとって、追加コストなしで支払業務を効率化できる手軽な選択肢です。
適する企業規模と業務範囲
個人事業主から従業員数50名程度までのスモールビジネスに最適です。
専任の経理担当者がいない、または社長や他業務の担当者が経理を兼任しているような企業で、まずは手軽に支払管理を始めたい場合に適しています。
複雑な承認フローは不要で、支払漏れを防ぎ、資金繰りを可視化したいというニーズに応えます。
価格プランと運用のコツ
「freee会計」の各プラン(ミニマム、ベーシック、プロフェッショナルなど)に標準機能として含まれており、追加料金なしで利用できる点が最大のメリットです。
運用のコツは、受け取った請求書をファイルボックス機能で取り込み、支払期日や金額を登録して「支払依頼」を作成することです。
これにより、支払予定が一覧化され、管理が容易になります。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | freee会計の各プラン(ミニマム、ベーシック等) |
課金体系 | 会計ソフトの月額または年額利用料に含まれる |
コスト最適化 | 会計ソフトと一体化しているため、支払管理のための追加投資が不要 |
銀行連携と通知運用
freee会計は銀行口座とのAPI連携が強力です。支払依頼をもとに総合振込ファイルを作成し、インターネットバンキングで処理した後、口座の入出金明細が自動で同期されます。
これにより、支払取引の消込作業が自動化され、買掛金の残高管理が非常にスムーズになります。
支払通知書をメールで送る専用機能はありませんが、支払完了の旨を取引先にメールで連絡する際のテンプレートを用意しておくことで、簡易的な通知運用が可能です。
請求ピッパ
「請求ピッパ」は、Googleアカウントがあればすぐに利用を開始できる、手軽さが魅力の請求書・支払通知書作成サービスです。
シンプルで直感的な操作性に特化しており、複雑な機能を必要としない中小企業やフリーランスに適しています。
適する企業規模と業務範囲
フリーランス、個人事業主、従業員数10名以下の小規模企業が主なターゲットです。
とにかく簡単かつスピーディーに、インボイス制度に対応した支払通知書を作成・送付したいというニーズにぴったりです。
会計ソフトとの複雑な連携や、多段階の承認フローは不要で、発行業務そのものを効率化したい場合に最適です。
価格プランと導入形態
無料プランから用意されており、月間の作成枚数に制限はありますが、基本的な機能を試すことができます。
有料プランも非常にリーズナブルな価格設定で、スモールスタートで始めたい企業にとって導入のハードルが低いのが特徴です。
クラウドサービス(SaaS)であるため、ソフトウェアのインストールは不要で、Webブラウザからすぐに利用できます。
項目 | 特徴 |
---|---|
主な提供プラン | 無料プラン、有料プラン(月額固定) |
課金体系 | 月額固定料金(作成枚数や機能により変動) |
コスト最適化 | 必要な機能に絞られているため、低コストでの運用が可能 |
Googleアカウントで即利用可能
最大の魅力は、Googleアカウントでサインアップすれば、すぐに使い始められる手軽さです。
面倒な登録作業や設定はほとんどありません。
「インボイス」「電子帳簿保存法」「源泉徴収の計算」に対応しています。
スマホ、パソコン、タブレットで請求書を作成でき、クラウドであるため、どこからでもログイン出来て情報連携します。
請求書の他に見積書、発注書、納品書、支払明細書なども作成しPDF送信出来ます。
導入ロードマップとチェックリスト

支払通知書ソフトの導入は、単にツールを入れ替えるだけではありません。既存の業務フローを見直し、関係者と連携しながら計画的に進めるプロジェクトです。ここでは、導入を成功に導くための具体的なロードマップと、各フェーズで確認すべきチェックリストを提示します。このステップに沿って進めることで、導入後の混乱を防ぎ、期待する効果を最大限に引き出すことができます。
現状プロセスの可視化とKPI設定
最初のステップは、現在の支払業務を正確に把握し、ソフト導入によって何を達成したいのかを明確にすることです。感覚的な課題認識だけでなく、客観的なデータに基づいて現状を分析しましょう。
現状業務の洗い出しと課題特定
現在の支払通知書に関連する業務プロセスを、担当者、作業内容、所要時間、発生コストの観点から詳細に洗い出します。以下の表を参考に、自社の状況を整理してみてください。
プロセス | 担当部署・担当者 | 作業内容詳細 | 課題・問題点 |
---|---|---|---|
データ集計 | 経理部 Aさん | 会計ソフトから支払データを抽出し、Excelに転記・加工する。 | 手作業による転記ミスが発生しやすい。データの二重管理になっている。 |
通知書作成 | 経理部 Bさん | Excelのテンプレートにデータを入力し、一件ずつPDFを作成する。 | 件数が多いと時間がかかり、月末の残業原因になっている。属人化している。 |
承認 | 経理部長 | 印刷された通知書と元データを目視でチェックし、押印する。 | テレワークに対応できない。承認待ちで業務が停滞することがある。 |
封入・発送 | 経理部・総務部 | 印刷、三つ折り、封入、切手貼付、投函を行う。 | 印刷代、封筒代、郵送費のコストが高い。物理的な作業負荷が大きい。 |
問い合わせ対応 | 経理部 全員 | 「届いていない」「金額が違う」などの問い合わせに個別対応する。 | 過去の書類を探すのに時間がかかる。対応履歴が管理できていない。 |
導入目的の明確化とKPI設定
現状の課題が明らかになったら、ソフト導入によって達成したい目標を具体的な数値(KPI: 重要業績評価指標)で設定します。これにより、導入効果を客観的に測定し、関係者への説明責任を果たすことができます。
- 業務効率化:支払通知書作成・発送にかかる時間を月間50時間から10時間へ削減する(80%削減)。
- コスト削減:印刷・郵送にかかる費用を年間30万円から5万円へ削減する。
- ペーパーレス化:紙での出力を95%削減し、キャビネットの保管スペースを不要にする。
- ガバナンス強化:承認プロセスの電子化により、承認履歴をシステム上で完全に記録し、内部統制を強化する。
- 従業員満足度向上:単純な手作業から解放し、より付加価値の高い業務に集中できる環境を整える。
データ移行 ベンダーマスタとテンプレート整備
システムの導入準備段階で最も重要なのが、データの整備です。既存システムから新しいソフトへスムーズに情報を移すための準備を丁寧に行いましょう。
移行対象データの洗い出しとクレンジング
現在使用している会計ソフトや販売管理システム、あるいはExcel管理のファイルから、新しいソフトに必要なデータを移行します。特に取引先マスタ(ベンダーマスタ)は、電子配信の成否を分ける重要なデータです。
- 取引先マスタ:会社名、住所、電話番号に加え、担当者名、部署名、メールアドレスが最新の状態になっているかを確認します。
- データクレンジング:表記の揺れ(例:「株式会社」と「(株)」)、重複登録、古い情報の削除などを行い、データの精度を高めます。この作業を怠ると、メールの誤送信や配信エラーの原因となります。
- 過去データ:過去の支払履歴をどこまで移行するかを決定します。法令で定められた保存期間を考慮し、必要な範囲を決めましょう。
支払通知書テンプレートの整備
新しいソフトで利用する支払通知書のフォーマットを準備します。多くのソフトでは標準テンプレートが用意されていますが、自社の運用に合わせてカスタマイズが必要です。
- レイアウト設計:自社のロゴの配置、必須項目(支払日、金額、明細、源泉徴収税額など)の表示位置を決定します。
- 独自項目の追加:振込手数料の負担区分や、取引先コードなど、自社独自の管理項目を追加できるか確認します。
- 電子配信用メール文面:取引先に送付するメールの件名や本文のテンプレートを作成します。丁寧かつ分かりやすい文面を心がけましょう。
パイロット運用 取引先アナウンス 本番切替
準備が整ったら、いよいよ導入の最終段階です。一気に全社展開するのではなく、段階的に移行することでリスクを最小限に抑えることができます。
パイロット運用(スモールスタート)
本格導入の前に、一部の部署や協力的な少数の取引先を対象に試験運用(パイロット運用)を行います。これにより、想定外の問題点を洗い出し、本格導入前に解決することができます。
チェック項目 | 確認内容 |
---|---|
操作性 | マニュアルを見なくても直感的に操作できるか。担当者が迷う箇所はないか。 |
データ連携 | 会計ソフトからのデータ取り込みや、振込データの出力は正常に行えるか。 |
承認フロー | 設定した承認ルート通りにワークフローが機能するか。代理承認は可能か。 |
通知書レイアウト | 作成されたPDFのレイアウトに崩れはないか。文字化けは発生していないか。 |
取引先の反応 | メールは正常に受信できたか。PDFは問題なく開けたか。分かりにくい点はなかったか。 |
取引先への事前アナウンス
支払通知書の送付方法が変更になることは、取引先にとって重要な連絡事項です。最低でも1〜2ヶ月前には、書面やメールで丁寧にアナウンスしましょう。
- 告知内容:変更の背景(ペーパーレス化推進など)、変更時期、電子化への同意のお願い、新しい受け取り方法、問い合わせ窓口を明記します。
- 同意の取得:電子帳簿保存法の要件ではありませんが、トラブル防止のために、メール配信への同意を事前に得ておくことが望ましいです。同意取得用のWebフォームを用意するとスムーズです。
- 郵送希望への対応:電子化に対応できない取引先のために、当面は郵送と併用するなどの経過措置も検討しましょう。
本番切替と社内サポート体制の構築
パイロット運用で得たフィードバックを元に改善を行い、全社展開のスケジュールを策定します。本番切替後は、社内からの問い合わせが増えることが予想されるため、サポート体制を整えておくことが重要です。
- 社内トレーニング:経理担当者だけでなく、関連部署の従業員にも操作説明会を実施します。
- マニュアル整備:自社の運用に合わせた簡易マニュアルやFAQを作成し、いつでも閲覧できるようにします。
- ヘルプデスク設置:社内の問い合わせ窓口を一本化し、誰に聞けばよいか明確にしておきます。ベンダーのサポートデスクの連絡先も共有しておきましょう。
よくある質問

支払通知書ソフトの導入を検討する際、多くの企業様が疑問に思う法制度への対応やセキュリティに関する点をQ&A形式で解説します。
システム選定前にこれらのポイントをクリアにしておきましょう。
支払通知書のメール配信に同意は必要か
結論から言うと、支払通知書を電子データ(メール添付のPDFなど)で送付する場合、原則として取引先の事前承諾が必要です。
一方的な電子化は、取引先とのトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
特に、取引が下請法の対象となる場合は、書面による交付が原則とされています。
そのため、電子化する際には、下請事業者(取引先)からの明確な承諾が法律で求められています。
承諾を得る方法としては、以下のようなものが考えられます。
- 個別の同意書や覚書を締結する
- 電子契約サービスを利用して同意を得る
- 利用規約への同意をWebシステム上で行ってもらう
- 同意確認の文面を記載したメールを送付し、返信をもって承諾とする
重要なのは、「いつ」「誰が」「どの方法で」同意したのかを記録として残しておくことです。
支払通知書ソフトの中には、取引先がWebポータル上で利用規約に同意する機能を持つものもあり、同意取得のプロセスを効率化できます。
PDFパスワード設定やドメイン認証の重要性
支払通知書には取引金額などの機密情報が含まれるため、セキュリティ対策は非常に重要です。
特にメールで配信する場合、情報漏洩やなりすましのリスクを低減させる対策が不可欠です。
PDFへのパスワード設定
PDFファイルにパスワードを設定することは、第三者による不正な閲覧を防ぐための基本的なセキュリティ対策です。
万が一メールが誤送信されたり、第三者に渡ってしまったりした場合でも、パスワードがなければファイルを開くことができません。
ただし、パスワードの通知方法には注意が必要です。PDFを添付したメールとは別の手段(別のメール、電話、SMSなど)でパスワードを通知する「パスワード付きZIPファイル(PPAP)」は、セキュリティ上の脆弱性が指摘されており、近年は推奨されていません。
支払通知書ソフトを選ぶ際は、取引先ごとにユニークなパスワードを自動生成し、安全な方法で通知できるか、あるいは取引先専用のマイページからダウンロードできる仕組みになっているかを確認すると良いでしょう。
送信ドメイン認証(なりすましメール対策)
自社になりすました悪意のあるメール(フィッシングメールなど)が取引先に送付されるリスクを防ぐため、送信ドメイン認証は必須の対策です。
これにより、受信側のメールサーバーは、送られてきたメールが正当な送信元から送られたものであることを検証できます。
認証技術 | 概要と役割 |
---|---|
SPF (Sender Policy Framework) | メール送信元のIPアドレスが、ドメインのDNSサーバーに登録されている正当なものかを検証する仕組み。 |
DKIM (DomainKeys Identified Mail) | 電子署名を用いて、メールが送信途中で改ざんされていないかを検証する仕組み。 |
DMARC (Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance) | SPFとDKIMの両方の認証結果に基づき、なりすましメールを受信側がどう扱うべきか(受信拒否など)をポリシーとして指定できる仕組み。 |
支払通知書ソフトがこれらの送信ドメイン認証技術に対応しているかを確認することは、自社の信頼性を守り、取引先をサイバー攻撃のリスクから保護する上で極めて重要です。
電子保存の原本性とタイムスタンプの扱い
電子データで送付した支払通知書(控)は、電子帳簿保存法の「電子取引」データに該当し、法律の要件に従って保存する必要があります。
特に、データの改ざんがないことを証明する「真実性の確保」が重要なポイントとなります。
この真実性を確保するための措置として「タイムスタンプ」がよく知られていますが、電子帳簿保存法ではタイムスタンプの付与は必須要件ではありません。
以下のいずれかの措置を講じることで、真実性の確保要件を満たすことができます。
措置の選択肢 | 具体的な内容 | 支払通知書ソフトでの対応例 |
---|---|---|
1. タイムスタンプ付与 | タイムスタンプが付与されたデータを受領する、または送付後速やかに自社で付与する。 | 認定タイムスタンプを自動付与する機能を持つソフトを利用する。 |
2. 訂正削除が記録される・禁止されているシステムを利用 | データの訂正や削除を行った場合にその事実と内容が確認できる、またはそもそも訂正や削除ができないシステムで送付・保存する。 | 多くのクラウド型支払通知書ソフトがこの要件に対応しており、送付履歴や操作ログが記録される。 |
3. 事務処理規程の整備・運用 | データの訂正・削除の防止に関する事務処理規程を社内で作成し、その規程に沿って運用する。 | ソフト利用とは別に、自社で規程を作成し、それに従ってデータを管理する。国税庁のサンプルが参考になる。 |
多くの支払通知書ソフトは、送付履歴や操作ログがシステム上に記録されるため、上記の「2. 訂正削除が記録される・禁止されているシステムを利用」の要件を満たすことができます。
そのため、ソフトを導入することで、追加のタイムスタンプ費用や複雑な事務処理規程の運用なしに、法要件に対応できるケースがほとんどです。
導入前に、検討しているソフトがどの要件を満たす設計になっているかを確認しておくと安心です。
まとめ
本記事では、中小企業向けにおすすめの支払通知書ソフトを、機能や価格、使いやすさの観点から徹底比較しました。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が急務となる中、自社に最適なソフトを選ぶことが業務効率化の鍵となります。
会計ソフトとの連携を重視するなら「マネーフォワード クラウド債務支払」、配信業務の自動化なら「楽楽明細」など、本記事で示したシナリオ別の選び方を参考に、失敗のないシステム導入を実現してください。