エクセルで領収書を作成する方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
無料テンプレートの選び方から入力・印刷・PDF保存、インボイス制度対応の注意点、法的有効性や電子印鑑の扱いまで、領収書発行に必要なポイントを完全網羅。
この記事を読めば、自分に最適な領収書の作り方とトラブル対策が明確になります。
エクセルで領収書を作成するメリットと注意点
エクセルで作る領収書のメリット
エクセルで領収書を作成する最大のメリットは、手軽さとカスタマイズ性の高さにあります。
Excelを使えば、テンプレートを用いて短時間で美しいフォーマットの領収書が完成します。
手書きでは時間がかかる複数枚の発行も、一度データを入力するだけで一括作成が可能です。
データがデジタルで残るため、発行履歴の管理や再発行も容易であり、保存・検索にも優れています。
また、社名やロゴ、指定フォント、独自の項目追加など、自社の業務フローに合わせて柔軟にカスタマイズできる点もメリットです。
無料テンプレートやサンプルも豊富に公開されているため、費用をかけずにすぐ始められる点も選ばれる理由となっています。
エクセルはMicrosoft 365(旧Office)、Office 2016以降など幅広いバージョンで利用でき、操作性も一般的なので、パソコン初心者からビジネス現場まで幅広いユーザーに最適です。
手書きや他ソフトとの違い
比較対象 | 主な特徴 | エクセル利用時の利点 |
---|---|---|
手書き | 誰でも書けるが、作成や確認、修正に時間がかかる。記入ミスも発生しやすい。 | データ入力だけで作成でき、修正や再発行も簡単 |
Word | 文章中心の作業に強いが、レイアウトの保持や計算式活用には不向き。 | セルや表計算機能が使え、数値や消費税の自動計算が可能 |
専用会計ソフト | 自動化や会計との連携に優れるが、費用がかかり操作習得も必要。 | 無料で利用でき、余計な機能がないためシンプルに作業できる |
エクセルは、他の方法と比べて「作業のスピード」「レイアウトの柔軟性」「容易な集計・自動化」「費用面の手軽さ」が際立っています。
法律と必要記載項目について
領収書の発行は国税庁が定める「収入印紙法」や「インボイス制度」などの法令遵守が求められます。
エクセルで領収書を作成する際も、下記のような記載項目を忘れず入力することが必要です。
必須記載項目 | 内容 |
---|---|
日付 | 領収書を発行した年月日 |
宛名 | 金額を受け取った相手方の氏名・会社名 |
金額 | 数字と「¥」マーク。金額は消費税を含めて記載 |
但し書き | 何に対しての領収書かを明記(例:商品代として) |
発行者情報 | 会社名、店舗名、住所、電話番号(任意)、押印または電子印鑑 |
収入印紙 | 5万円以上の領収については貼付が必要(法令で定められている場合のみ) |
記載漏れや法令違反があると、税務調査時に経費として認められないリスクや、信頼性の低下につながるため、注意が必要です。
また、電子取引や電子帳簿保存法(電帳法)の改正も進んでいるため、発行先や保存方法にも最新の法規制を確認し対応することが重要です。
エクセルで領収書作成に必要な準備

必要なパソコン環境とMicrosoft Excelのバージョン
領収書をエクセルで作成する際には、事前に適切なパソコン環境とエクセルのバージョンを確認する必要があります。
快適に動作するためには、Windows 10以降またはMacOSの最新バージョンに対応したパソコンを推奨します。
また、Microsoft Excelは2016以降、できればMicrosoft 365やExcel 2021など、セキュリティ更新が受けられるものを利用しましょう。
古いバージョンでは、一部のテンプレートや関数が正常に動作しない場合があります。
自分のパソコンのスペックやExcelのバージョンを事前に確認して、最新の環境で作業できるように準備してください。
項目 | 推奨内容 |
---|---|
OS | Windows 10/11、またはMacOS最新版 |
Excelバージョン | 2016以上(推奨:Microsoft 365、Excel 2021) |
プリンター | インクジェット・レーザー問わずA4対応機推奨 |
PDF変換 | Excel標準機能、またはAdobe Acrobatなど |
無料テンプレートの選び方
エクセルで領収書を効率よく作成したい場合は、あらかじめ用意されている無料テンプレートを活用しましょう。
テンプレートを選ぶ際は、必要記載項目(宛名、日付、金額、但し書き、発行者情報など)が網羅されているか、編集のしやすさやデザインがシンプルで見やすいかをチェックすると安心です。
また、インボイス制度への対応や、会社のロゴや印影が挿入できるものもおすすめです。
用途や取引先の要件に合わせて最適なテンプレートを選びましょう。
選定ポイント | チェック内容 |
---|---|
記載項目 | 宛名、日付、金額、但し書き、発行元、印影欄の有無 |
編集性 | セル幅調整や複数ページ対応のしやすさ |
インボイス対応 | 登録番号や適格請求書対応項目があるか |
デザイン | シンプルで見やすい、誤解されないレイアウト |
領収書テンプレートのダウンロード先一覧
日本国内で広く利用されている、安全かつ無料でエクセル領収書テンプレートを入手できる主なダウンロードサイトは以下のとおりです。
各サイトで特徴や利用規約を確認し、業務用途でも利用可能なものを選んでください。
ダウンロードサイト | 特徴 |
---|---|
Microsoft Office テンプレート | 公式テンプレートページ。ビジネス利用可能、シンプルな書式多数。 |
bizocean(ビズオーシャン) | 多様なテンプレートが検索・無料ダウンロード可能。インボイス対応もあり。 |
テンプレートBANK | 個人・法人用途向けテンプレート豊富。カスタマイズも容易。 |
みんなの経費精算 | 領収書専用テンプレートがダウンロードでき、PDF版も用意。 |
JDLネットストア | 税理士や会計士監修のテンプレートを提供。最新制度にも対応。 |
これらのダウンロード先を活用することで、必要最低限の記載事項が漏れなく反映されたテンプレートを安全に入手でき、エクセル初心者でも安心して領収書作成を開始できます。
第三者が作成したテンプレートの場合は、念のためウィルスチェックを実施し、内容を必ず確認してから利用しましょう。
エクセルで領収書を作成する基本手順

エクセルを使った領収書作成は、テンプレートの活用によって誰でも速やかに、かつ法的要件を満たした書類が作成できる点が大きなメリットです。
ここでは、はじめて領収書をエクセルで作成する方でも迷わず進められるよう、わかりやすく手順を解説します。
テンプレートの開き方と保存方法
エクセル用の領収書テンプレートは、「Microsoft公式テンプレート」や「弥生」、「Misoca」など、信頼できるサイトからダウンロードします。
ダウンロードが完了したら、以下の手順でファイルを開きます。
- エクセルを起動し、「ファイル」メニューから「開く」を選択
- ダウンロードしたテンプレートファイルを選択して開く
- 「名前を付けて保存」で任意のフォルダに新規保存
※元データは上書きせず、毎回コピー保存することを推奨
テンプレートの保護ビューを解除する必要がある場合は、ファイル上部の「編集を有効にする」ボタンをクリックしてください。
必須項目の入力方法
領収書に記載すべき項目は、税法や商取引法上で明確に定められています。
テンプレートを使う場合も、以下の項目が抜けていないか必ず確認しながら、必要情報を入力していきます。
日付・宛名の入力
発行日付は、実際に領収書を発行する日を西暦または和暦で記入します。
宛名は原則として支払いを行った者の氏名もしくは名称をフルネームで記載します。
「上様」は原則として控え、正式な取引先名等を入力しましょう。
金額・但し書き・発行者情報の入力
金額欄には税込総額を、数字を大きく明瞭に記載し、先頭または末尾に「¥」や「-」で改ざん防止措置を施しましょう。
また、「但し書き」には取引内容(例:飲食代、商品代金など)を具体的に記載します。
発行者欄には会社名・屋号、住所、電話番号を明記し、法人の場合は代表者氏名も入力してください。
収入印紙や電子印鑑の有無
領収金額が5万円を超える場合、電子発行でなければ収入印紙(200円)を貼付する義務があります。
エクセルで印刷する場合、印紙貼付欄を設けておくと便利です。
また、電子発行の場合は電子印鑑を挿入してください。
エクセルの「挿入」>「画像」などで電子印鑑データ(PNGやJPEG)を貼り付けて対応します。
番号や複写など応用テクニック
複数枚発行する場合や管理上の便宜を図るため、通し番号(シリアルナンバー)を振ると管理がより明確になります。
「=ROW()-○」関数等を使えば、自動的な番号振りも可能です。
また、控え(副本)として同一シート内に複写欄を設ける方法もあり、「セルの書式設定」や「セルの複製機能」を活用することで実現できます。
こうした応用を行うことで、後からの確認や税務調査にも対応しやすくなります。
エクセル領収書を印刷・PDF保存する方法

印刷時の設定と注意点
エクセルで作成した領収書を紙で発行する際は、印刷設定が非常に重要です。
適切な用紙サイズやレイアウトを選択することで、見た目が整い、ビジネスシーンでも信頼される領収書が作成できます。
項目 | 設定例・注意点 |
---|---|
用紙サイズ | A4またはA5推奨。必要に応じて印刷サイズを調整。 |
印刷範囲 | 「印刷範囲の設定」で領収書部分のみを指定。不要なセルや余白をカット。 |
余白 | 「ページレイアウト」タブから余白を「狭い」や「ユーザー設定」にすると収まりやすい。 |
ヘッダー/フッター | 通常はなし。必要に応じて会社名やページ番号も可能。 |
プリンター設定 | 高品質設定で印刷すると、文字やロゴが明瞭に出力される。 |
必ず印刷プレビューでレイアウトを確認し、不足やはみ出しがないかチェックしてください。
また、同じ用紙に複数枚の領収書を印刷する場合は「印刷範囲の繰り返し」や「シートの複製」を活用しましょう。
PDFに変換してメール送信する手順
エクセルで完成した領収書は、紙に印刷するだけでなくPDFファイルとして保存し、電子メールで送信することも一般的です。
PDFに変換しておけば、印刷せずとも相手に領収書を迅速に発行できます。
手順 | やり方の詳細 |
---|---|
1. ファイルを保存 | まず「ファイル」→「名前を付けて保存」で、元データを保存しておきます。 |
2. PDFとしてエクスポート | エクセル上部メニューの「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPS ドキュメントの作成」を選択し、「PDF/XPSの作成」ボタンをクリック。 |
3. オプション設定 | ファイル名と保存場所を選び、「発行範囲」を「選択した部分」または「シート全体」に指定。 発行品質は「最適(標準)」がおすすめ。 |
4. 保存 | 「発行」ボタンを押してPDF化。 |
5. メール送付 | 領収書PDFは添付ファイルとしてメールで送信します。件名や本文には「領収書をお送りいたします」と記載し、受領者名や内容との一致を再確認するのがポイントです。 |
PDF化することで改ざんリスクが減り、データでの保存・管理が容易になります。
ただし、電子発行では発行者情報や電子印鑑、発行日がきちんと記載されているか確認しましょう。
「Microsoft Print to PDF」などプリンタドライバ機能や、Adobe AcrobatなどPDF作成ソフトを利用しても同様にPDF化が可能です。
バージョンによってメニュー名が若干異なる場合がありますが、基本的な手順は変わりません。
領収書発行時によくある疑問とトラブル解決法

金額の訂正はどうするか
エクセルで作成した領収書の金額を訂正する場合は、新規に作り直すことが最も安全です。
受領者への信頼性確保のため、訂正線(横線)や訂正印だけでは不正防止の観点から推奨されません。
誤った金額で発行した場合は、「領収書の作り直し」を伝え、正しい内容で新しい領収書を再発行しましょう。
また、間違えた領収書は破棄または「作成取消」の印や文言を添えて管理することで、トラブルを未然に防げます。
状況 | 推奨する対応 |
---|---|
金額や日付の入力ミス | 正しいデータで再作成し、旧データは「無効」と記載し保存、または破棄 |
宛名や但し書きを誤記 | 入力内容を修正し、新しく領収書を発行 |
電子発行の法的有効性
エクセルで作成しPDF等で電子発行した領収書も、法的に有効です(電子帳簿保存法やインボイス制度にも準拠可能)。
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
- 改ざん防止措置(パスワード設定やタイムスタンプの付与など)
- 必要事項(宛名・金額・但し書き・発行日・発行者など)の記載
- 電子データでの保存・管理が可能な環境の整備
お客様が紙媒体での原本を求める場合もあるため、事前に確認しましょう。
また、電子発行領収書は法人税法、消費税法等の要件を満たすことが前提ですので、書式や保存方法(7年間保存)を必ず守りましょう。
発行方法 | 有効性と注意点 |
---|---|
PDFファイルで発行 | 一般的に有効。保存義務、改ざん防止措置が必要 |
メールで送信 | 有効。ただしスパムフィルタや受信状況の確認が重要 |
クラウドストレージ共有 | URLの取扱いやアクセス権限に注意 |
印鑑は必要か
領収書の印鑑(社判・押印)は、必須ではありません。
会社のゴム印や代表印がなくても、領収書としての法的な効力は成立します。
ただし、実務上は信頼性や取引先の要望を考慮し、会社の印鑑や電子印影の利用が推奨されます。
エクセルなら電子印鑑(画像やスタンプ機能)で対応可能です。
印鑑の有無 | 実務での取扱い |
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印鑑あり | 信頼性が高く、トラブル防止に有効 |
印鑑なし | 法的には問題なし。取引先の要望があれば対応 |
電子印鑑 | 電子領収書ならおすすめ。画像の不正使用に注意 |
まとめ
エクセルで領収書を作成すれば、無料テンプレートを利用して初心者でも簡単に安全な領収書を発行できます。
法律で定められた必要項目を正確に入力し、印刷やPDF保存も可能です。
万が一トラブルが生じても正しい知識があれば柔軟に対処できます。
Microsoft Excelを活用して、効率よく領収書管理を行いましょう。