納品書兼請求書の書き方ガイド|初心者もわかる簡単手順

  • 2024年12月3日
  • 2024年12月3日
  • 納品書

納品書兼請求書の作成にお悩みではありませんか?

本記事では、納品書と請求書が一体化した「納品書兼請求書」の特徴や法的必要性、実際の作成手順をわかりやすくご説明します。

初心者の方でも簡単に理解できるよう、記載すべき項目や便利なテンプレートの紹介、効率的な管理方法まで詳しく解説。

これを読むことで納品書兼請求書を正確かつ効率的に作成でき、取引先とのスムーズなやり取りを実現できます。
また、電子化やクラウド活用など現代的な管理術も取り上げており、業務の効率化にもつなげられます。

プロのように仕上げられる秘訣を、ぜひ最後までご覧ください。

ビジネスの現場では、取引における金銭のやり取りを明確にするために納品書請求書といった書類が用いられています。
これらの書類はそれぞれ役割が異なりますが、これらを一つの書類にまとめたものが納品書兼請求書です。

納品書兼請求書は、その名の通り、納品書としての役割と請求書としての役割を兼ね備えた書類です。

一枚で取引の内容を証明し、かつ金額や支払い条件を通知できるため、多くの企業や個人事業主が採用しています。
ここでは、納品書と請求書の違いや、それらを兼ねた納品書兼請求書が選ばれる理由を詳しく解説します。

納品書と請求書の違い

まず、納品書と請求書の違いについて整理しましょう。

以下の表は、それぞれの目的や内容を比較したものです。

書類名目的主な記載事項
納品書取引で納品した商品やサービスの内容を確認する品名、数量、納品日
請求書取引先から代金を請求する金額、支払期限、振込先情報

納品書は取引相手に対し商品の納入が完了したことを証明するのに使われ、主に納品物やその数量、納品日などが記載されます。

一方、請求書は取引相手に代金を請求するための書類で、金額や支払い期限、振込先などの情報が中心となります。

これらを別々に発行する場合、発行コストや確認作業が重複することもあり、手間が増えるという課題があります。

納品書兼請求書が選ばれる理由

納品書兼請求書が選ばれる最大の理由は一枚で取引状況と請求内容を同時に伝えられる点です。

以下に、選ばれる主な理由を列挙します。

  • 書類作成の効率化:納品書と請求書をそれぞれ発行する手間がなくなります。
  • 確認作業の簡便化:取引先が一つの書類で納品内容と請求情報を確認できます。
  • 発行コストの削減:書類の印刷や郵送コストを削減できます。
  • ミスの防止:記入事項が一元管理されるため、記載ミスが減少します。

特に中小企業や個人事業主にとっては、業務効率化やコスト削減が大きなメリットとなるため、納品書兼請求書は非常に実用的な書類といえます。

法的な位置づけと必要性

納品書兼請求書には、法的な位置づけもあります。

税法や商法の観点から考えると、取引における証憑書類として重要な役割を果たします。

日本の消費税法では、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が2023年10月から施行され、一定の基準を満たす請求書や納品書が求められるようになりました。
この制度のもとでは、納品書兼請求書がその基準を満たしていれば、適格請求書として機能させることが可能です。
また、商取引では契約内容を証明する資料としても使用されるため、取引先との信頼を維持するうえでも欠かせない書類です。

具体的には、次のような情報が含まれていれば、納品書兼請求書が請求書としても法的に認められます。

  • 発行者の情報(氏名・会社名・住所・登録番号など)
  • 取引内容の詳細
  • 取引金額と消費税額

適切な形で発行・保存することで、法的なトラブルを防ぐだけでなく、取引先との関係を良好に保つこともできます。

記載すべき基本情報

納品書兼請求書を正しく作成するためには、まずその構成に必要な基本情報を網羅する必要があります。
この情報は正確性が求められ、取引先との信頼関係を損なわないためにも慎重に確認する必要があります。

以下では、納品書兼請求書に必須の項目について詳しく解説します。

発行者情報(会社名や住所など)

納品書兼請求書には発行者の情報を漏れなく記載することが必要です。

発行者とは通常、その書類を起票する会社や個人事業主を指します。

具体的には、以下の項目を入力します。

項目記載内容の例
会社名 / 店舗名株式会社〇〇
住所東京都新宿区〇〇〇-〇〇
電話番号03-XXXX-XXXX
メールアドレスinfo@〇〇〇.co.jp

これらの情報を正確に入力することで、取引先が書類を確認した際に安心感を与えることができます。

取引先情報(取引先名や担当者名)

次に重要となるのが取引先の情報です。

間違いがあると、相手側に不信感を持たれる可能性があるため、注意が必要です。

主に以下の情報を記載します。

  • 取引先の会社名
  • 取引先の住所
  • 担当者名(必要に応じて役職も併記)
  • 電話番号やメールアドレス

取引先情報を記載する際には、以前やり取りしたメールや契約書を参照し、正式名称や住所などが正しいかどうかを必ず確認してください。

品目や数量、金額の詳細

納品書兼請求書の核心部分ともいえる内容が品目、数量、および金額です。
これらは取引内容を正確に反映させる重要な箇所であり、以下のように整理して記載することが一般的です。

項目
品目商品A
数量10個
単価¥1,000
合計金額¥10,000

加えて、納品内容が明確にわかるよう、必要に応じて備考欄を設けると良いでしょう。

例えば、「商品Aは〇〇仕様、納期は〇〇日」などの補足情報を記載すると取引先に親切な書き方になります。

発行日や納品日

文書を発行した日付、および納品日や請求期日も重要な項目です。
これらが記載されていないと、取引や支払いのスケジュールが曖昧になり、トラブルの原因となる可能性があります。

例としては以下のようになります。

  • 発行日:2023年10月1日
  • 納品日:2023年10月15日
  • 支払期限:2023年11月15日

これらの情報を確実に記載することで、双方がスケジュールを把握しやすくなり、余計な問い合わせを減らすことができます。

利用可能なテンプレートやツール

納品書兼請求書を効率よく作成するには、テンプレートやツールの活用が欠かせません。

無料で利用できるものから、会計機能が連動した有料ツールまで、さまざまな選択肢があります。

Microsoft ExcelやWordのテンプレート

Microsoft Officeを使用している方には、ExcelやWordで利用できる無料テンプレートの活用をおすすめします。

公式サイトやテンプレート配信サービスからダウンロードでき、カスタマイズも容易です。
たとえば、表形式で金額や日付を整理するのにはExcelが適しており、文書全体を見やすく整えるにはWordが便利です。

Excel版納品書兼請求書ダウンロード
Wold版納品書兼請求書ダウンロード

弥生会計やfreeeなどの会計ソフト

取引金額が多く、ビジネスの規模が大きい場合は、弥生会計やfreeeなどの会計ソフトの利用を検討しましょう。
これらのツールは納品書兼請求書の作成機能が標準搭載されているほか、売上帳簿や税務申告との連動が可能です。

結果として、手作業でミスが発生しにくくなります。

クラウド型サービス

最近では、バックオフィス業務を効率化するためのクラウド型サービスが多く登場しています。

例えば「マネーフォワード クラウド請求書」や「MakeLeaps」などが有名です。
これらのサービスでは、オンライン上で簡単に納品書兼請求書を作成・送付し、相手先からの受領確認も管理できます。
また、データを一元管理できる点からバックオフィス業務の効率化が図れます。

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手順1 情報を正確に収集する

納品書兼請求書の作成において、最初のステップは必要な情報を正確に収集することです。
この情報は、取引先との信頼関係を築くために非常に重要です。

具体的には、以下の情報を正確に集めておきます。

情報項目内容
発行者情報会社名、住所、電話番号、担当者名、メールアドレスなど
取引先情報取引先の会社名、担当者名、住所、電話番号など
商品やサービス情報品目、数量、単価、金額の合計
日付納品日、請求日(発行日)、支払期限

特に、発行日や支払期限など日付に関する情報はミスが発生しやすいため、取引先に事前確認を取ると安心です。

手順2 レイアウトを整える

収集した情報を基に、納品書兼請求書を視覚的に見やすいレイアウトに整えます。
この際、情報が明確に整理されていることが大切です。

見やすいデザインのポイント

まず見やすいデザインにするためには、情報がカテゴリごとに整然と並べられていることが重要です。

各要素は取り出しやすく、混乱を生まない形式にする必要があります。
また、余計な装飾を避け、フォントや色遣いをシンプルに保つよう心がけましょう。

余白やフォントサイズの工夫

余白の適切な使い方は視認性を大きく左右します。
特に、各セクションを分ける際には適度な間隔を設けることで、読み手にストレスを与えずに情報を伝えることが可能になります。
さらにフォントサイズは小さすぎず、見やすい10~12pt程度を採用するのが良いでしょう。

手順3 間違いがないか確認する

納品書兼請求書は間違いが許されない重要な書類です。

発行前には必ず全体を確認し、ミスがないことを確かめましょう。

以下のチェックリストを活用することで、漏れを防ぐことができます。

間違えやすい点のチェックリスト

チェックポイントチェック方法
価格や数量元の見積書や契約書と突き合わせて確認
日付発行日、納品日、支払期限が正しいか確認
税率・税金計算適用される税率が最新か、計算に誤りがないかチェック
名義や住所取引先の情報が最新情報か再確認
商品やサービス内容品目や数量が一致していることを確認

これらのポイントを確認することで、発行後の訂正や再発行を大幅に減らすことができます。

税金に関する記載

納品書兼請求書を作成する際に、税金に関する記載は非常に重要です。

取引金額に課される消費税の記載が必要であり、適切な税率を反映することが求められます。

例えば、2023年10月現在の日本における消費税率は10%であり、税抜き金額と税込み金額の両方を明記することで取引先にとって理解しやすくなります。
また、軽減税率の対象品目が含まれている場合は、その旨も記載する必要があります。

具体的には、食品や飲料(酒類を除く)については8%の軽減税率が適用されるため、該当部分を明確に分けて記載することが求められます。

さらに、インボイス制度への対応も重要です。

2023年から導入された適格請求書保存方式により、消費税として控除を受けるためには適格請求書発行事業者の登録番号を記載する必要があります。
この登録番号が記載されていない場合、取引先が控除を受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。

消費税の明記と注意点

消費税を計算するときには、以下のような情報を正確に記載してください。

項目記載例注意点
税抜金額100,000円端数処理を統一する
消費税額10,000円取引ごとに税率が異なる可能性を考慮する
税込金額110,000円必ず税込み価格も明記する

これらの情報を正確に記載することで、取引トラブルを未然に防ぐことができます。

取引先ごとのカスタマイズ

納品書兼請求書は、取引先ごとの状況や要望に応じてカスタマイズすることが理想的です。
その際には、決まったフォーマットを使用しつつ、相手先の希望に柔軟に対応することが重要です。

例えば、取引先から特別な項目を追加してほしいと依頼があった場合には、それを確認に基づき追加すると同時に、他の項目との整合性を確認しなければなりません。
また、ロゴマークや指定のレイアウトが求められる場合には、テンプレートを変更して対応します。

正確性が求められる書類であるため、取引先ごとのカスタマイズ時でもデザイン性が優先されることはなく、実務的かつ明確な内容を保つことが重要です。
また、取引内容に特化した情報や特記事項(シリアルナンバーや案件名など)を記載すると、相手にとって認識しやすくなります。

取引先の要望に応じた変更

取引先の要望に応じて変更を加える際は、以下のポイントを意識してください。

  • 記載内容の変更については事前に相手方へ確認する
  • 変更後の書類でも法的要件を満たしているか確認する
  • 統一感を損なわない程度にカスタマイズする

これにより、双方が納得できる形の納品書兼請求書を作成することが可能です。

再発行時のルール

納品書兼請求書を再発行する際には、特有のルールや注意点があります。
特に訂正や修正が必要な場合には慎重に対応しなければなりません。

訂正した書類を正規なものとして認識してもらうために、以下の手順を守ります。

まず、修正箇所を明確にし、元の納品書兼請求書と区別がつくように「再発行」の文言を記載してください。
その際、再発行の日付と理由を明記することで、取引先との認識のズレを防ぎます。

また、修正版を送付する場合には、元の書類を一度無効にすることを取引先に伝え、古い書類の破棄または保管ルールに従うようお願いしましょう。
これにより、書類管理上の混乱を避けることが可能です。

訂正や修正が必要な場合の対処法

再発行時の具体例として、以下のような記載例があります。

項目記載方法注意点
再発行日2023年10月15日元の日付と合わせて記載
修正理由数量の誤記訂正曖昧な記載は避ける
訂正箇所品目「A」の数量を10→15に修正変更がわかりやすい表現にする

これらの手順を踏むことで、再発行による信頼低下を防ぎ、スムーズな対応を実現します。

電子化のすすめ

納品書兼請求書を効率的に管理するためには電子化が欠かせません。

紙の書類は保存場所の確保や検索の手間が発生しますが、電子化することでスペースの節約検索性の向上が実現します。
また、社内外でスムーズに共有することが可能になり、業務の効率化に大いに貢献します。

PDF形式で保存する方法

紙で作成した納品書兼請求書をスキャナーで取り込みPDF形式で保存すると、従来の書類管理が簡単になります。

最近では、スマホで撮影した画像を自動的にPDF化するアプリも多く登場しており、これを利用すると簡単に管理が始められます。

PDF形式で保存すると、検索可能なOCR機能を活用して特定の情報をすばやく見つけることができる点も大きな利点です。

クラウドストレージを活用する

電子データを管理する際にはクラウドストレージの活用がおすすめです。

Google DriveやDropbox、OneDriveなどはクラウドベースでの保存が可能で、外出先や複数の拠点でのアクセスを実現します。
これにより、必要な納品書兼請求書をいつでもどこでも確認できる環境を整えられます。

以下に代表的なクラウドストレージサービスを比較した表を示します。

サービス名無料プラン容量メリットデメリット
Google Drive15GB他のGoogleサービスとの連携が容易容量超過時の課金
Dropbox2GB高速なファイル同期無料プランの容量が少ない
OneDrive5GBOfficeアプリとの連携が強力他サービスとの連携が限定的

取引ごとのファイル管理術

納品書兼請求書の管理においては、取引ごとにファイルを分けて整理する方法が効率的です。

クライアントや取引先ごとにフォルダを作成し、その中に発行日順や金額順にファイルを保存することで、必要な書類を迅速に検索できます。

フォルダ構成の例

以下はフォルダ構成の一例です。

レベルディレクトリ名内容
1取引先名(例: 株式会社ABC)特定取引先の全書類を保存
2年度別フォルダ(例: 2023年)年度で整理した書類
3月別フォルダ(例: 2023年01月)月ごとに発行された書類

長期保存のポイント

納品書兼請求書を長期的に保存するためには、会計や法規上の要件を満たした方法を採用する必要があります。

例えば、日本では電子帳簿保存法が改正され、多くの企業が電子保存を推進しています。

保存する際のポイントは以下の通りです。

  • ファイル名に取引先名や日付を含めてわかりやすくする
  • 定期的にデータのバックアップを取る
  • クラウドサービスと外部ストレージを併用することでデータ損失リスクを回避する

納品書兼請求書は、納品書と請求書の機能を兼ね備えた便利な書類であり、効率的な業務管理を実現できます。

本記事では、基本的な書き方や注意点、さらに効率的な管理方法について具体的に解説しました。
特に、Microsoft Excelや弥生会計、freeeなどのツールを活用することで作業効率が大幅に向上します。
また、電子化によるPDF保存やクラウドストレージ利用を取り入れることで、紛失リスクを回避でき、長期保存も容易になります。

正確で見やすい内容の書類作成を心がけ、取引先との信頼関係を構築しましょう。

この記事で紹介した手順やポイントを参考に、納品書兼請求書作成をスムーズに進めてください。

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