納品書と請求書の違いとは?知らないと困るビジネス書類の基本を解説

  • 2025年7月8日
  • 2025年7月8日
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納品書とは何か

納品書は、商品やサービスの提供が完了したことを示すために取引先に提出する書類です。

主に売り手から買い手に対し、「これだけの商品・サービスを納品しました」という事実確認書類として機能します。

納品した内容を明確に示し、誤納品や数量ミスなどのトラブルを防ぐ目的で利用されるため、取引証明の役割を担っています。

納品書の発行は法的な義務ではありませんが、商取引の現場では信頼性確保やトラブル防止、人為的ミス削減のために広く運用されています

一般的には、納品時に商品やサービスに同封されることが多いです。

納品書の主な記載項目

項目名概要
発行日納品書を作成した日付
納品先商品やサービスを受け取る側の会社名・住所など
納品内容商品名・サービス名、数量、単価などの詳細
発行者情報発行した会社名、担当者名、連絡先など

納品書は請求金額や支払条件など、金銭的情報は必ずしも記載しないのが特徴です。

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請求書とは何か

請求書は、商品やサービスを提供した後、対価の支払いを求める正式な書類です。

売り手が買い手に対して「これだけの金額をお支払いください」と通知するもので、金銭の授受を伴うビジネス取引において不可欠な役割を持ちます。

請求書の発行は法律で義務付けられている訳ではありませんが、商習慣としてほぼすべての取引で発行されています

法人税法や消費税法などの制度上も請求書の保存が求められるケースがあり、企業会計やインボイス制度への対応の観点からも極めて重要な書類となっています。

請求書の主な記載項目

項目名概要
発行日請求書を作成した日付
請求先代金を支払う側の会社名・住所など
請求金額消費税を含めた合計金額
納品内容の明細商品名・サービス名、数量、単価、金額
支払期限支払いを求める期日
振込先情報銀行名・口座番号など
発行者情報発行した会社名、担当者名、連絡先など
消費税額などの税情報明細ごとの税区分、インボイス登録番号など

請求書は金銭に関わる内容が厳密に記載され、社内外の書類管理や会計処理の基礎資料となります。

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役割や目的の違い

納品書と請求書は、どちらも企業間取引において重要な書類ですが、その役割や目的には大きな違いがあります。

納品書は、商品やサービスが確かに納品された証明として発行され、おもに「納品内容の確認」と「受領の証拠」として使われる書類です。

一方、請求書は、取引先に対して代金の支払いを正式に求めるために発行される「金銭の請求」を目的とした書類です。

納品を証明した後、代金の支払いを依頼する、というそれぞれ独立した位置づけを持っています。

発行のタイミングの違い

納品書と請求書は、発行されるタイミングも異なります。

納品書は、商品やサービスを実際に納入する際、もしくは納入した直後に発行されるのが一般的です。
これにより、取引先は受け取った商品内容をその場で確認しやすくなります。

請求書は、納品が完了した後に発行し、取引先に対して代金の支払いを求めるタイミングで送付します。

取引の流れの中で、納品が先、請求が後というのが一般的なルールです。

書類名発行タイミング主な目的
納品書商品・サービス納品時または直後納品内容の確認と受領証明
請求書納品完了後、支払い請求時代金支払いの正式な請求

記載内容の比較

納品書と請求書には共通する項目もありますが、記載されている内容にも明確な違いがあります。

それぞれの主な記載項目を比較してみましょう。

書類名主な記載内容特徴的な項目
納品書・発行日
・納品先情報
・取引先名
・商品名・型番・数量・単価
・納品日
・納品場所
・受領サイン欄(手書きの場合)
請求書・発行日
・請求先情報
・取引先名
・商品名・型番・数量・単価
・合計金額
・消費税額
・請求番号
・支払期日
・振込先口座情報

納品書は「いつ・どこに・何が納品されたか」をクリアにするための書類であり、請求書は「いくら・いつまでに・どこに支払うか」を明示するための書類です。

どちらも記載漏れがあるとトラブルの原因になるため、注意深い作成が求められます。

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実際のビジネスの流れと書類の出し方

取引業務において、納品書と請求書は「いつ」「どのような順序で」発行するかが非常に重要です。

それぞれの役割や目的を踏まえて、適切なタイミングで使い分ける必要があります。

一般的なビジネスの流れでは、まず「見積書」や「注文書」などのやり取り後、商品の納品とともに「納品書」が発行されます。
その後、納品内容の確認が取れたら「請求書」を発行し、取引先に送付します。

書類名発行タイミング主な目的発行者
納品書商品やサービスの納品時納品内容の明細を通知し、受領確認を得る販売者・サービス提供者
請求書納品内容の確認後・締切に合わせて代金の支払いを正式に依頼する販売者・サービス提供者

納品書は「取引内容が予定通り届けられたか」の証明書類、請求書は「代金支払いを請求する」ための公式な書類です。
この2つを混同せず、タイミングや用途に応じて正しく使い分けることが、円滑なビジネス取引につながります。

よくある間違いと注意点

納品書と請求書の取り扱いで間違えやすいポイントがあります。

重要なのは納品書と請求書を同時に発行しないことや、書類の記載内容を正確にすることです。

以下の表に代表的な間違いとその対処法をまとめました。

よくある間違い発生シーン注意点・対策
納品書のみで請求を行う納品時に請求金額だけを記載する納品書は納品内容の確認用。請求時は正しく請求書を発行する
記載内容の不一致納品書と請求書で商品内容や金額が異なる両書類の内容を必ず照合し、相違がないか確認する
納品書・請求書の受領ミス郵送やメールで送付したが相手先に届いていない送付後は相手の受領確認を必ず取り、トラブルを回避する
同時発行による混乱納品書と請求書を同日に出してしまう原則、納品後に内容を確認した上で請求書を出す

納品書を「仮の請求書」や「領収書」として運用しないこと、金額の記載ミスや日付の間違いに厳重に注意することが、誤解やトラブルを防ぐカギです。
また、電子化が進む現場ではシステム上の操作ミスやデータ送信にも留意し、デジタルデータでも保存義務や真実性を確保しましょう。

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ビジネスにおいては、納品書や請求書だけでなく、領収書・注文書・見積書などの関連書類も重要な役割を持っています。
これらの書類は取引の各段階で必要となり、それぞれの違いを理解して使い分けることが信頼ある取引の基本です。

領収書との違い

領収書は、代金の受領を証明する書類です。
納品書や請求書とは発行タイミングや役割が異なります。

書類名主な役割発行タイミング誰が発行するか主な記載内容
納品書商品やサービスの納品内容を証明納品時販売者商品名・数量・納品日など
請求書代金の支払いを請求納品後、または同時販売者金額・支払い期限・振込先など
領収書代金を受領したことの証明入金時受領者受領金額・受領日・支払方法など

たとえば、注文から商品が納品され、その代金が支払われるとき、納品書で納品を確認し、請求書で金額を案内し、領収書で支払い完了を証明する流れが一般的です。
領収書は請求書や納品書があっても、省略せず必ず発行することが税務・法律上も推奨されています。

注文書や見積書との関係性

ビジネス取引には、見積書や注文書も欠かせません
これらは納品書や請求書とどう関係するのでしょうか。

書類名発生する場面主な目的発行者
見積書取引前取引条件・費用の確認販売者
注文書注文時商品・サービスの発注依頼購入者
納品書納品時納品内容の通知・証拠販売者
請求書納品後・同時代金の請求販売者
領収書入金時支払いの証明販売者(受領者)

一般的な取引の流れとして、まず「見積書」で取引条件を確認し、「注文書」で発注、「納品書」と「請求書」で納品と請求を行い、最後に「領収書」で支払いを証明します。
それぞれの書類は発行の順序や役割が明確に分かれているため、ビジネス現場では書類を適切に管理・保存することが信頼関係の構築やコンプライアンス対応に役立ちます。

なお、これらの書類は電子化が進む中でフォーマットや保存方法が多様化しています。

どの書類がどのタイミングで必要かを正確に理解し、必要に応じて活用できるようにしましょう。

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電子納品書・電子請求書の活用

近年、業務効率化やペーパーレス推進の観点から、納品書や請求書の電子化が急速に進展しています。これまで紙でやり取りされていたビジネス書類は、PDFや専用の電子帳票システムを活用することで、デジタルデータとしてやり取りが可能となりました。

電子化の主なメリットには、郵送コストや印刷コストの削減、紙の保管スペースの縮小、検索性や業務スピードの向上が挙げられます。
また、書類紛失リスクや記載ミスの防止も期待できます。

一方で、電子帳簿保存法などの法律に沿った保存要件を満たす必要があり、電子署名やタイムスタンプなど適切なセキュリティ対策も求められます。

項目紙の納品書・請求書電子納品書・電子請求書
発行・送付方法手書き・印刷後郵送や手渡しPDF等でメール送信、クラウドシステム利用
管理・保管方法紙ファイルやファイリング棚システム上のフォルダ管理・自動保存
コスト面印刷・郵送・保管スペースが必要初期システム導入費用がかかるがランニングコスト低減
法令対応原本保管義務あり電子帳簿保存法の基準に対応が必須

インボイス制度への対応

2023年10月より導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、取引の証明となる請求書・納品書への「登録番号」等の記載義務や、取引内容の明確化を目的としています。
特に電子請求書や電子納品書についても、インボイス制度に対応した形式での発行・保存が求められるようになりました。

企業は、適切なシステム選定や運用ルールの見直しを行い、税務調査や申告時に必要となる「電子データの真正性確保」「検索性」など法令で定められた要件をクリアする必要があります。
また、今後は電子取引データ保存が義務化される動きもあり、柔軟な対応がビジネス継続に欠かせません。

電子化によって事務コスト削減や業務効率化が期待される一方で、最新の法制度やITセキュリティ動向を把握し、社内フローの整備を進めることが現代ビジネスにおいて重要です。

インボイス制度と電子化の両方を視野に入れた書類管理の最適化が、これからの企業運営の鍵となります。

納品書と請求書は、役割や発行タイミング、記載内容が異なる重要なビジネス書類です。

誤った使い方を避けるためにも、違いを正しく理解しておくことが必要です。最近では電子納品書や電子請求書も普及しており、インボイス制度への対応も求められています。

取引の信頼性を保つため、書類の管理や運用には十分注意しましょう。

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